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 ▼ クレール・ドゥニ 『ショコラ』 (88 仏)

 『ショコラ』といっても、ラッセ・ハルストレム監督のじゃなくて、クレール・ドゥニ監督の88年のフランス映画。そんなものよくチェックしてくるナァと言うなかれ。レンタルビデオ屋でパッケージに間違えて入ってたのだ。ボクはラッセ・ハルストレム監督のを借りたはずだったのだ。間抜けな話。
 始まってみたら、『ショコラ』はショコラでも、《Chocolate City》のChocolateの意味だった。冒頭の海から黒人の親子が現れて、浜で寝転がってる膚の色がまさにショコラだったのだ。だけれど、ひょっとしてこの『ショコラ』は、あの『ショコラ』よりずっとおもしろかったんじゃないかと、偶然、こういう佳作に巡りあうというのもラッキー。
とにかくこのクレール・ドゥニは全くのノーチェック。調べたら、『ネネットとボニ』、『パリ、18区、夜。』、『TROUBLE EVERY DAY』など

 ところはカメルーン。本国フランスから派遣されている家族とそのハウス・ニグロ(かっこフィールド・ニグロに対して)、とりわけ5〜6歳の娘フランスとハウス・ニグロのひとりプロテを中心に話は進む。
 テーマ的にどうこうというのは書きにくいなぁ。この中で描かれているのは決して背伸びした視点からでなく、クレール・ドゥニ自身の視点から、黒人差別が捉えられているのがすごく快い。だからといって、ハウス・ニグロで終始しているのでなく、フィールド・ニグロ、さらにはアメリカン・アフリカンにまで彼女自身の視点から描かれていく。いわゆる「差別」を扱った堅苦しさや嫌みが全然感じられない。
 とにかくフランスが可愛いんだよね、こういうなにげに演じてしまう子供がいる。思うに、黒人の見せかた、子どもの見せかた、そしてアフリカの自然の見せかたが抜群に上手いんだろうね。何にも特別な技術とかカメラワークとか使わずともここまで見せられる映画というのもそうそうあるもんじゃない。

家も木もないような遠い山の方を見ると
空と地面がひとつになっている。
地平線だ。あすの朝みせてあげるよ。
それは追っても遠くたどりつけない。逃げていく。
分からないだろうが地平線という線は存在しないのだ。


★★★★☆  


2001年10月30日(火)
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