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 ▼ ロマン・ポランスキー『ナインス・ゲート』 (99 米・スペイン)


 オカルトやらホラーやら、魔なんちゃらかんちゃらってのは、のっけから信じてない人だから、別にぃ〜って感じなわけなんだけど、そのなんていうの、謎解きのごとく、その切り裂かれた断片を繋ぎあわせていくように話が進んでいくってのは話としておもしろいから嫌いではない。特別に好きだってワケでもないけど。
 例えば、頭上から危険が落ちてくるという話に、偶然ジョニー・デップの頭上から、工事現場らしき足場が崩れてきたってことにしても、現実にはまずそんなことは起こりえないだろうし、起こるなんてことは信じてない。(何かの因果として起こりえない。何の脈絡もなく工事現場が崩れることに遭遇することは十分に起こりうる) しかし仮に起こったとして、ほらそれは、あの話のとおりだったろうとか、結果論的に因果関係を無理にでも結びつけることでおもしろがってるだけ。だって、そんなもん単なる偶然よと済ましてるより、ああじゃこうじゃというてるほうが楽しいやん。何の脈絡もない不条理な事故というのを納得しにくいからね。
 でも物語や映画では、その起こりえないことをいくらでも起こらせることができるわけで、そういうのがどんどん積み重なったほうがおもしろいし、積み重ならないと、何の物語にもならないでしょ。重なって当たり前なんだよ。何の不思議もない。そういうことは誰もが十分了解してるからこそ、ホラーとか、魔なんちゃらが受けるだけのこと。
 だから次には何が起こるぞ、起こるぞと、予兆(オーメンですね)させておいて、いかにはらはらどきどきさせられるかいかんにかかってるわけで、そういう意味じゃ、この『ナインスゲート』は引っ張ることができておもしろかったよ。とくにどことなくあの田代まさし風ジョニー・デップのコルソがクールで、それが最後まで引っ張れた一番の原因。
 もっといえば古本屋バーニーが逆さ釣りにされるんでももっと衝撃的に見せて欲しいんだよねぇ。ん?どうも殺されてるみたいだぞ、ん?どうなってんの、あ、逆さまにぶらさがってるのか、じゃ、物足りない。ファルガスの最期にしたってそう。ケスラー夫人(バーバラ・ジェフォード)の最期は、ポランスキーらしいといえばポランスキーらしいんだけど、車イスがひとりでにかたかた動いてるとこなんかね、でもまだまだエグサが足りない。バルカン(フランク・ランジェラ)なんてもっと派手に空中浮遊でもさせといてから落としてやりゃいいのに、どうも煮え切らない、あ、この場合は焼け切らないか(笑)
 なんとか最後まで引っ張ることはできたんだけど、最後の最後まで引っ張れなかったという感想は誰にも共通してるでしょ。
 子ども騙しじゃないんだからさ。あれじゃあ、誰も納得しないって。ボクなんかさ、単純だからさ、ラストでいみふめ女(エマニュエル・セイナー)の騎乗位で終わってくれたら最後の最後にサービスでめでたしめでたし、(^^)// パチパチパチだったのに。嗚呼、やっぱ、女って怖いよナァ、蜘蛛女(レナ・オリン)が殺られようがクールに通してきたジョニー・デップを最後に御してしまうのはいみふめ女だったかぁでよかったのに。
 ひらりと舞い落ちた最後の一枚に描かれた女の顔がいみふめ女にそっくりだったなんてお笑いです。ミステリーとして見てる分にはけっこうおもしろかったんだけど、悪魔だ、魔術だ、恐怖だとかいってもこんなもん。あほくさ。

CinemaScape ★★☆ 


2001年11月10日(土)
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