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 ▼ デビッド・リンチ『イレイザーヘッド』 (77 米)


 たいていの場合、プロットなどを追いかけようとする。それでここからは、デビッド・リンチの夢、幻想の世界で、ここで現実に戻って。。。などと考えながら見るだろう。でもそんなまだらっこしいことを取っ払って見てみたら、単純明快。というか、ボクはリンチの場合は、単に映像作家として見てる。だってストーリーなんてあってないに等しいし、あったとしても、『ワイルド・アット・ハート』のようにどうにもこうにも噴飯ものだから。
 もうリンチでなきゃ描けないってのが、ふっと挿入される「こぶとり天地真理」ねえさんで、これが『ブルー・ベルベッド』のふにゃふにゃと心地よいあのメインテーマの音楽に受け継がれてるわけでしょ。それよりも目ぱちくりこの顔の表情がたまりませぬ。それでなにげなく、異生物をぶちゅっと踏みつけて、ぶちゅっと異生物の体液、汁が飛び散る、それでも目ぱちくりこなのがリンチぃ〜
 まずのっけのジョン・ナンスのあのヘア・カットにゃのけぞるよ。イ・ケ・テ・ル! ただしこの世界だけだね(笑) ただこれってフリッツ・ラングもろなんだけど、それはそれでいいのだ。を、始まる、始まるという期待感に胸がわくわくさせてくれるんだから。
 その頭がメアリーXの家族と絡んだら、もうもうたまりません。この連中、見た瞬間にひと癖もふた癖もありそうで胸キュンよ(笑) 魂の抜け殻となっている婆ぁのひざにでっかいサラダボールみたいなのを乗せて、後ろから婆ぁの手をもってサラダボールをかき回させる。その間、婆ぁは全くの無表情で、何も変化というものが起こらない。全くの魂の抜け殻。非常に非常にデキの悪いシャッフルマシンと化してしまってるわけ。だって手を添えてやらないと動かないマシンなんてまったく無意味でしょ。メアリーXのオヤジの顔もね、これまたとてもス・テ・キ! 目ぱちくりこ―デビッド・リンチの大好きな目ぱちくりこで、こんどはその表情が微妙に微妙に変化していく。あの顔の変化は何度見ても楽しくてしかたがない。
 人間の顔だけじゃなくて、まわりのアイテムもこれまたサイコーっ! 例えば壁に掛かったランプ、よくみりゃ蛍光灯の組み合わせなんじゃないかとも思えるシロモノだったり、ガラス窓ひとつとってもかなり緻密に計算されてるなあと思えるもの。それと終始重苦しく流れているサウンド、ノイズ。。。
 と、いうふうに、ここまでは褒めちぎり。だが、やめてほしいのは、SFX。まぁ、このSFX嫌いはこの『イレイザーヘッド』に始まったわけでないんだけれども、あんなもの持ちださなくても十分にあぶなっかしさを表現し尽くしてるのにと思う。むしろあの魚の頭のようなのがリアルに人間の表情に近づけようとすればするほど、あまりのアホくささにボクは白けてしまう。それとあのぴぃーぴぃーと泣く声ね、うるさいんだよ。どうして動物の赤ちゃんの声に近づけようとするかね。。。うんざりよ。★1つ減だね。

消しゴムつきエンピツですね。
そういや、きょうは11月11日 エンピツにぴったりだわ

CinemaScape  ★★★★ 



2001年11月11日(日)
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