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 ▼ エリック・コット『初恋 』 (97 香港)


 『恋する惑星』のエリック・コット版というてしもたらそれまでなんだけど、ウォン・カーウェイ組総動員なんだから仕方ないか。もちろん、カメラもクリストファー・ドイル。ドイルのざらついた映像がたまらなく好きだから、それでいいのだ(←バカボンパパ風に)
 このエリック・コット(葛民輝)は、ジャン・ラム(林 海峰)と二人で軟硬天師というヒップホップユニットを組んでるからか頭からヒップホップ。これいいです。すごくビースティーっぽいんだけど、クレジット、字がつぶれてしまっててわからず。誰か知ってる? サントラも出てるようだけれど、Rock Recordsというなぜか韓国のレーベルでようわからん。
 さてと、そんな監督が撮ってるだけに、ヒップホップ的なわけ。どうヒップホップかというと、頭の30分ほど何やっとんじゃいって感じ。『AV大久保』だとか、『悪女回歸』だとか、接骨院なんちゃらかんちゃらとかとタイトルが出てきて、常識的ではないな(笑) ところがこの常識的でない初めの30分がおもしろい。おもしろいんだけど、「恋愛はリンゴに似ている。皮を剥いたら。。。。」などとしっかり言いたいこと言うてしまってんだよねぇ。AVのインタビューかい、これは?とか、監督が表出てきてごたく並べんじゃねぇ、とか思ってるうちに、いつの間にか話がずーんと進んでる。こういうのって状況劇場の芝居なんかで、唐が好き好んで使う手口に似てる。ドタバタ何やっとんのってうちにいつの間にかその世界に引っ張り込まれてるわけ。この映画、気に入るか入らないかは初めの30分にかかってるな。
 でも逆に話が締まってくると、ウォン・カーウェイになってしまって、実際、結局のところ2本のオムニバスに集約されていくんだけど、そこらあたりが『恋する惑星』っぽくて、エリック・コットの味はどうなったん?と。しかしエリック・コットというのはどこまでも目立ちたがり、自己顕示欲の塊のようなとこがあって、それがいい方に出てるからOKなんです。
 1本目のオムニバスは金城武。リー・ウェイウェイが可愛いんだけど、それよりリー・ウェイウェイの婆ちゃんでしょ。あの婆あちゃん、自分で楽しんでやんの。それで行くと、2本目、こっちはエリック・コット自らが出演してるんだけど、その嫁さん、これがまた楽しい。絶対、役者演るんだったらサイドだよなぁ。この2本目はカレン・モクだけど、彼女がいないと下手すりゃヨシモトで終わるかも。とにかく表情がいい。あの表情して、喫茶店のテーブルの裏にチューインガムをくっつけるあたりの演出がシャレが効いてます。

CinemaScape  ★★★★  


2001年11月14日(水)
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