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 ▼ ジム・ジャームッシュ『ナイト・オン・ザ・プラネット』 (91 米)


 『ナイト・オン・ザ・プラネット』―原題は『Night On Earth』―どうして変えるんか疑問。どうでもいいけど。
 5つのオムニバスから成り立ってる。どれも好き。
 まずはインパクトの強いのから行くと、4つ目ローマのロベルト・ベニーニ。このマシンガンのようなしゃべくりには脱帽。そのしゃべくりのテンポで夜のローマの街がフロントウィンドーに流れていくのは見ていて気持がいい。で、どうなったんだっけ、あ、そかそか、「司祭様」がそのしゃべくりのせいで死んでしまうのだった。おもわず忘れてしまうほどベニーニのしゃべくりはすごい。これだけでも見る価値あり。もう職人芸よ。って笑って済ませてられりゃ世話ないんだけど意味深よ。
 オムニバスの構成がすごくいい。しっとり入って、ぎゃはぎゃは沸かせて、きっちり締めるというセンスは抜群。紅白歌合戦でいえあば、トップバッターには活きのいいのもってくるでしょ。
 それがウィノナ・ライダー。みんなウィノナ・ライダーというからまたヘソ曲げたろかと思うたけど、やっぱりいいのだ。その活きのいいところをジーナ・ローランズにじっくりからませて、「冬は暗くなるのが早いねぇ」としっぽりと仕上げて見る側をしっかり取り込んでしまう。トップがベニーニだとなんじゃあこれはと退いてしまうでしょうが(笑)
 かのベティ・ブルー=ベアトリス・ダルって存在だけで竒しい。ジム・ジャームッシュにしてはちょっとストレートすぎるような気がしないでもない。ここはダルの竒しさ。運転手はあの『ショコラ』の。
 最後はヘルシンキ。東京なんてあってもエエのにと思いながら。きっちり締めてはくれるけれど、これも不幸比べってのもボクとしては好きじゃない。より不幸だったらどうなんだって思うわけ。ただそれをジム・ジャームッシュが描いたら嫌みったらしくならないで妙にさらっとしてしまうのが不思議。
 で、4つしか、書いてないでしょ。ボクが一番好きなのはNY編。運転手ヨーヨーのジャンカルロ・エスポジトがどことなくゲイリー・シャイダーに似てたりして、シャイダーをオフでしゃべらせたらあんな調子。ヘルメット=アーミン・ミューラー・スタールとのツッコミ漫才がもうペーソス効きまくって、そこにロージー・ペレスがからんで《大FuckYou!! Shit!! 大会》これでしょう、やっぱり!
 ほぼ全編タクシーの中だけ。安く上げるよなぁ(笑) この着想とこの夜の泣きに脱帽。でも女を口説こうとする男はどうして乗ってこなかった? バックシートの男と女の攻防戦と運転手の三つ巴ってのも悪くないと思うんだけど。

CinemaScape  ★★★★☆  



2001年11月15日(木)
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