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 ▼ パク・キヨン『モーテルカクタス 』 (97 韓)


 モーテルでの4つのオムニバス。4組の男女のいちおうは別個のモーテルのなかでの痴話(と言い切ってしまいましょう)。
 モーテル、というか、ラブホだね。ラブホだからして、セックスがらみは当然だけれど、どのセックスもエロくない。さらっとしてるわけでもなくて、鼻がひしゃげるばかりのキスだとか、4話目の二人で一緒に風呂に入って「以前より足が小さくなったね」などというあたりは、うんうんわかるわかるとも思うのだけれど、いかんせんエロくない。
 ウォン・カーウェイもんで外すに外せないカメラがこのクリストファー・ドイル。ところがウォン・カーウェイと組んだときは彼のカメラによって引っ張っていってるというところが大いにあるのに、この『モーテルカクタス』では裏目に出てしまってる。つまりカメラも奇を衒いすぎてしまってる。例えば、1話に出てくるUFO風船の反射などわざとらしくていやらしい。3話目のセックスシーンなんてのは、クリストファー・ドイルだからこその映像であっても、それが逆につまらなくしてしまってるのだ。思うに、たぶんに神代辰巳などの影響がモロではあるのに、しっかりエロく表現すべきところは表現すべきだと思う。
 上で「いちおうは別個」と書いたけれど、ナイアガラだかの動く絵の額がつながっていたり、ラストにも出てくる荒涼とした海の風景(これもテレビ画面を通したような荒れた映像がいやらしい)がカットバックされたり、いろんなことを盛り込もうとしてるがその意図はほとんどまったく伝わってこない。
 見終わったあとに、《映画瓦版》でわかったことだが、1話と3話で女優が同じ。3話と4話で男優が同じ。だがキャラクターは別物。しかも同じ407号室でも改装前後を交互になっているという。そんなん知るかぁぁぁ。《映画瓦版》では「圧倒的に情報不足」と言うが、ボクは別にそれはそれで構わないと思う。逆に、こうなってしまいました、めでたしめでたし、あるいはどうだ哀しすぎるだろうというハリウッド映画によくある「ほっといてくれよ映画」でないだけ許せる。ただ、妙な小細工が鼻についていやらしいだけなのだ。同じいやらしいでも、もっとエロくいやらしくしてほしかったのだ。
 「どうしてモーテルカクタス(砂漠のサボテン)なんだろう」というのもわざとらしくていやだなぁ。
 何につけちょこっとは浸れる、浸らされてしまったのは、ボクの未熟なところなのかもしれない。そいう意味でつまらない映画ってわけじゃないけど眠たかった。

CinemaScape  ★★★☆  


2001年11月26日(月)
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