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 ▼ ポール・モリセイ『アンディ・ウォーホルのヒート』 (72 米)


 なんともかんとも巨匠の考えることにはついていけんって、はい脱帽。
 とは言うても、巨匠は名前だけでほとんど何もしてないんしょ。たまにスタジオにのぞきにしたりするくらいで、そこらあたりはようわかってへんのだけれど、そこはそれやっぱり巨匠の名前を冠しただけでおもろいような気になるから不思議。

 まずはこの『ヒート』のもとネタはよく知られたこだけど、ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』だからして、ハリウッドの光と影いや、ハリウッドの影影影、影だらけ。出てくる奴、まともな人間は誰ひとりとしておらん。変態、ホラ吹き、色気狂い・・・普通は一人くらいまともな人間がおって、少しはまともなほうに物語が進んでいくものだけれど、絶望的。過去にすがるもの、プールサイドでオナニーに耽るもの。頽廃しきっております。こんあもの見て健全な青少年が育つわけない。ロクなオトナにゃならないよ。うちの娘たちには見せたくないです。なんちて、娘と二人で、同じウォホール+モリセイの『ドラキュラの血』なんてものを観に行ったりしてるのだった。 そのあまりのダメさ加減がうれしすぎるのだ。胸がすく思いというのはこんなんをいうのかもしれない。ここにまともなのが一人でも出てきたらブーイングものなんだけど、ようここまでダメばかりを描けるというのはやっぱり凄いことです。ラストでさ、フツーはさぁ、あそこで男に逃げられてとち狂ったおばはんがぶっ放して大団円なんだけど、もしそれやってたら噴飯ものですが、人さえ殺すことのできない情けなさがたまらなくうれしい。
 ジョー・ダレッサンドロにしたってたしかにいいカラダしてることはしてるけれど、それもぶっ壊すカラミがエグい。う〜んと、日本で言えば、織田裕二と山田花子、う〜んちがうな、浅野忠信と柴田理恵、うんこっちのほうがぴったりだ。ね、どう考えたって見たないでしょ。元ハリウッドのいまは売れない女優という役回りのシルビア・マイルスはまだしもね、それでも年くっても白い肌が妖艶ってのならいいんだけど、若い男、若い男、とホストクラブ漁りしてるおばはんのギトギト加減はちょっと見もの(たぶんに怖いもの見たさの感は否めない)。それに対してモーテルのオーナー、パット・アストにはゲロりまする。11/9に書いた『シュガーベイビー』のマリアンネ・ゼーゲブレヒトの濡れ場に匹敵する悪趣味加減。まさに浅野忠信ファンはやめてぇ〜〜〜っっっと絶叫することまちがいなし。をいをい。こっちは見ることによってマゾヒスティックな快感が得られマスです。
 『シュガーベイビー』の場合はまだ映像とかに凝ったところがあったんだけど、この『ヒート』はほとんどベタな映像。色にしたってかなり黄色がかったギトギトした感じでいったいどこがって感じ。
 素ぅに見たら、何だんねん、これってものなんだけど、どこか捨て置けない、なんかの拍子でまた観たくなってしまう、これって、映画のドラッグなんかもしれない。ただしダウン系であります(^_^;A

★★★★  
 






2001年11月27日(火)
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