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 ▼ フランソワ・トリュフォー『柔らかい肌』 (64 仏)


 これももうほとんど語り尽くされてるのでバカなこと書いてしまいそう。例えば邦題は『柔らかい肌』と非常に刺激的、はっとすりゃポルノ。。。英語になると、『Soft Skin』って、何だか別のものを想像してしまって、映画のイメージとあまりにかけはなれてしまてる。邦題も原題『La Peau Douce』を直訳しただけなんかもしれないけど、フランス語だとそれらしく感じてしまうのは偏見ってもんでしょうか。
 で、いきなり掌が重なり合うのがタイトルバックで、実はこれがいちばんエロく感じてしまう。リスボンへの機内(当時はまだ悠々と煙草吸えたんだね)のシーンでカーテンの下からニコル(フランソワーズ・ドルレアック=カトリーヌ・ドヌーブの実姉)がヒールを履き替えるシーンが映されんだけれど、フェチ入ってるボクなんかにはたまんない。よく観てたら結構靴を映してるんだよね。ホテルの廊下にずらっと並んだ靴はちょっと見もの。ピエール(ジャン・ドサイ)とニコルの性的描写なんてのは皆無に近くて、唯一、ニコルのヒール(またしても靴だ!)を脱がせて、つま先から太腿にかけて愛撫するだけ。もうこのシーンはぞくぞくもの。きっちり脚に目を向けさせてるわけ。その線で行くと、ズボンは嫌いだと言われて、スカートにこっそり履き替えてくるニコルのいじらしさはほんとたまらない。脚、手だけでその向こう側を、自分の体験で補完させられてしまうのはまんまと罠にかかったようなもの。これにはほんとまいったなぁ(^_^ゞ 初めて観たときにはこんな困惑なんてなかったのに、年のせいもあるんだけど。。。。
 写真でいうところの被写界深度が映画としてはとても浅い(ピントの合っている前後の距離が短い)のが際立ってる。バックのパリの街がぼーっと霧の向こうに浮かぶような映像がほんとにいいのだよ。これがこの映画がボクを捕らえて離さないところ。そしてこの被写界深度の浅さとは、映像だけでなく、この映画全体についても言えると思う。それが猫であったり、エレベーターであったりするわけ。それとテンポの良さといったらピカイチ。うーん、映画の教科書というのは当然だね。
 いきおい、目はニコル(フランソワーズ・ドルレアック)に向けられるんだけど、はい、こういうタイプむちゃ好きです、嫁さんフランカ(ネリー・ベネデッティ)もこれまた好きなタイプ。話の流れ上、ヒステリックなシーンが多いんだけれど、ラストが彼女の何とも言えない目で終わるとこがすごくいい。そこにあっけなくFINと出たら、やっぱ映画はフランス映画だよなぁとつくづく思うボクなのでありました。
 ところで偶然のすれ違いというのは怖いなぁと、それはね、あそこでニコルによく似た女が電話ボックスに入らなかったら。。。それは映画だからそういうふうに作ってんだよと言われればそれまでだけど。
 ランスから二人でパリに戻って、ニコルが家に入って行くときに手を振ってんだよなぁ。






2001年11月30日(金)
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