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 ▼ ジャック・ドワイヨン『ふたりだけの舞台』 (87 仏)

 原題が『Comedie!』で、邦題ははじめ『彼と彼女のコメディ』だったのに、いつのまにか『ふたりだけの舞台』になってしまってた。確かに、彼女=ジェーン・バーキンと彼=アラン・スーションのほんとにふたりだけしか出てこない映画。ほかに出てくる生き物といえば、プールに浮かぶ蛾だけ。だから「ふたりだけ」というのはいいんだけど「舞台」というのもなぁ。
 丘の上の一軒家、これがいいんだよねぇ。日本だと豪邸なのかもしれない。小さなプールつきで、1階と2階合わせて220m2などと中で言うてたから、決して大きな家でもないでしょ。この家がまたいいんだわ。こういう家に住むことができるというのは羨ましい限り。そこにかつて彼が住んでいて、そこに新しい彼女と一緒にやってくる。
 ところがその家にあったのは、過去の女のにおい。それを敏感に察知した彼女との間のごったごたに終始。まさにフランス映画ぁぁって感じで、アメリカ映画大好き人間には、けっ、糞みたいな映画だぜって。ボクはこういうねちねちしたほうが好きです。金もたいしてかかってなさそうだし。
 で、男と女の間で、ほれ、よくやるんだけど、微妙な綱の引き合いというやつ。勝手に自分たちで役回り ― 例えば、「きのうの晩にひっぱりこんだ女」など ― を作りだして、それにはまっていって、その堂々めぐりでどうしようもなくなるパターン。恋愛ががぁぁーーっと昇りつめていくときの心の揺れが、一歩間違ったら、はい、もうおしまいだねって終わってしまうんだけれど、あー、やっぱりダメかと匂わせては、くいと引き戻してみたり、その駆け引きじゃないな、そんな駆け引きやりあうほどの余裕なんてなくて、やっぱり微妙な揺れだね。この揺れって役者が上手くなければ成り立たない映画だなぁとしみじみ思ってしまったよ。さすがジェーン・バーキンってところ。
 監督のジャック・ドワイヨンというのは『ポネット』でやっと知られるようになったみたいだけど、ボクはまだ観てない。そのうち探して来よ。

CinemaScape  ★★★★  


2001年12月05日(水)
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