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 ▼ フランソワ・トリュフォー『華氏451度』 (66 英・仏)


 燃やされる本が何かチェックする楽しみ・・・をいをい(-.-;) そんな惜しげもなく燃やしてしまうんだったら下さい

 これはとても好きな映画で、頭のとこ―なんで頭のとこなんだか(笑)―何度見たことだか。もうあのバカこいたかつては消防隊、いまや焚書隊の出動の大袈裟さがむちゃ好き。いくら66年だというても、あれはないでしょモンのバカくささが受ける。焚書儀式もなかなか素敵。ぐっさりこれからオペやりまっせぇって調子。
 それとあのモノレールだね。駅に到着するたびにタラップごときが下りてきて、階段ですよ、階段。エスカレーターじゃないです。そのくせけっこう頻繁に走ってるの。そういえば、モノレールの窓から見える外の景色も、いかにもがなでいいのだよ。(小田急向丘遊園に行く専用のモノレールがこれにそっくりだという情報有り)
 家の中では双方向テレビ、をっとテレビは補助的に部屋に置かれてたり、本の隠し場所に使われていたりで、メインは壁掛け100インチだぜ。そのくせ照明器具は、まさに60年代っぽくて、もう時代感覚むっちゃくちゃ。このむちゃくちゃな時代感覚がたまりません。
 極め付けは、エイトマンよろしく空飛ぶ偵察隊。人間がジェット噴射で空を飛んでるんだぜ。その偵察隊が飛んでいる下には手漕ぎの舟だよぉ。モーターボートじゃなくて、その手漕ぎの舟でモンターグ(オスカー・ウェルナー)はパドルひと漕ぎで脱出するってんだから。
 モンターグ脱出後、人気のない住宅街を、スピーカーから「殺人犯が逃亡中」とアナウンスして回ったあとに人がぞろぞろと出てくるなんて不気味以外のなにものでもない。そしてテレビでは偽モンターグ射殺報道がされる、それもヘリコプターからの銃撃という手段で。これって、どきっとするよね。しっかり同じことをやってしまってんだから、笑っていいともじゃなくて、笑うてられまへんで、マジ。
 要はSFXだとか、CGだとか駆使したところで、ボクはずっとこのバカこけたSFもどきの映画のほうがよりリアリティーを感じてしまう。それはたぶんにSFXを見せるというところに力点がおかれてしまって、本筋からかけはなれてしまってるんじゃないかと思う。原作はレイ・ブラッドベリーの53年の同名のSF。これは読んでないのだけれど、ナチのユダヤ狩りが暗示しているというのは明らかで、そういう意味で、このトリュフォーの『華氏451度』でのバカくささは、カリカチュアしてあまりあるもんだと思う。
 ラストでブックマンたちが重なるように朗読していくのはもう鳥肌もの。これを大島は『新宿泥棒日記』でパクったのだな。本を口伝していくとこなんてエエんだよねぇ。そうそういちばん最初のタイトル流れる?ところからいきなりはまってくれ給え。
 あ、話の本筋は自分で観ましょう。そうしましょう。

CinemaScape  ★★★★★  


2001年12月06日(木)
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