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 ▼ ダニエル・シュミット『ヘカテ』 (82 仏・スイス)



 まんまとはめられておりま。。。。やっぱり『ヘカテ』でしょ。これは異常にヤバいのでおいときたかったんだけど、もう。しっかし何か書きにくいなぁ。ええいっ、ままよ!
 いちおう、「ヘカテ」からお勉強。めんどくさいので、無断引用
 《ゼウスさえも一目置く存在で、天、地、海を支配する力を持っていた。人間に恩恵をもたらす女神としても崇拝されたが、次第にその地母神的性質から、冥界と関係が深い女神へと変遷していってしまう。月を象徴し、魔術を司る女神としてしばしば様々な動物に変化した。》
 ふむふむ、これ読んだだけでも怪しい。映画の中では
 「犬を餌とする地獄の女神」
そしてこの「ヘカテ」は・・・・な、な、な、ゾクゾクくるだろ。ヤバいだろ。そのヘカテ=クロチルドがローレン・ハットン。ハリウッドの女優だけれど、これがまた妖しいのだ。だいたい一番初めに女優を見せる方法というのがひとつの勝負どころだけれど、ここで胸がざわざわしてくる。まず風にスカートがなびいて、それからブロンドがなびいて振り返ったときには、をっと一目惚れ。ベルナール・ジロドーが一気に落とされるのも頷ける。このベルナール・ジロドーもすげえハンサム男で、もしオレが女だったら、あいつとかあいつとかなんかより、こいつに行ってしまうだろうな。頭の船の上の優男ぶりが際立ってる。その優男がヘカテの手にかかってどんどんやつれていくのを、自分に置き換えて観るというのは、あ、やっぱりバカです。
 その「ヘカテ」というターム自体が怪しいのに、これがアラブ世界を舞台にしてるところが一段と怪しさが増していく。ちょこちょこと挟まれるアラブ世界のカットバックは、ベルナール・シュミットのドキュメンタリー作家としての手腕なんだと思う。ドキュメンタリーといえば、ラスト近くで戦争のセピア色のドキュメンタリーフィルムが流れる。ふつうね、こういうフィルムというのは、どうして戦争を持ちだして何を言いたいんだいと、いやらしさが勝ってしまったりして好きじゃないなけど、そのいやらしさがなく淡々とした時代の流れだけを告げているというのがいい。あ、話がぼんと飛んでしまったけれど、アラブ世界の映像も、淡々と描かれる分すごく効いてくる。必要以上の怪しさが演出されていない。なかにはくどくらいアラブぅーと演出するのっておるでしょ、それってセンスの問題なんだろなぁ。
 その話で行くと、蛇使いが出てくるシーンね、ジロドーがもうパニクってしまってるシーン、あそこの音楽の使い方も見事。アラブ音楽とジャズのクロスフェードが幾度か繰り返されて、観てるこっちまでがぁーっと不安定なところに持っていかれる。そこへ「犬を餌とする地獄の女神」 ちょっとここ思いだしただけでもたまりませんです。
 それで最後まで話はとっておいたんだけど、やっぱり光だね。いや、光と影。照明の当て方がとにかく抜群。いやほとんど照明に見とれておったって。ヘカテが「月を象徴し、魔術を司る」というのが、この照明見てたら、なるほどね。

CinemaScape  ★★★★★  


2001年12月07日(金)
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