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 ▼ ミシェル・ドビル『読書する女』 (88 仏)


 読書する女が『読書する女』を朗読する。二人のベッドで。そして「読書する女」になっていく。つまりはこうね。二人のベッドで男が女に本を読んでいく。「いいわよ、それなら短いから」と読み始めたのが『読書する女』
 読書する女、ミュウミュウは、本を読んで聞かせるという仕事を思いつく。あ、こういうのってアリなんだね。朗読を聞くのというのは楽しい。自分が読んだことのある本ならなおさら楽しかったりする。ボクも年老いて金があったら、若いきれいな声の女に頼んで本を読んでもらおう。
 さて、読書する女を雇われて出向いていくのは、半身不随の少年、自称100歳という老婆、女がいない会社社長、子守がわりに子どもに本を読んでやってくれという女。。。ミューミューは次から次へとその家に出かけていく。その軽快なフットワークがベートーヴェンのピアノなんたらに乗ってすごくいい。町中を軽いフットワークで歩いていくミュウミュウの姿が思いっきりいいのだ。そして、服のセンスがもう最高。あれってとても日本人には真似ができない着こなし。頭から足の先まで青でコーディネイトされた服のセンスがむちゃくちゃおしゃれ。これぞフランス映画ってところ。
 で、これぞフランス映画というもうひとつは、そこはかとないエロチックさ。モーパッサンというのはあんなにフェチだったんだ。少年に読んで聞かせるくだりは、はい、興奮します。当然、半身不随の少年が興奮しないわけがなく、少年の目は、露出したミュウミュウの膝に釘付け。それがやがて徐々に移っていく。
 女のいない中年社長は、当然のように新手の風俗と勘違いする。考えようによっては当然といえば当然。二人だけの家の中、またこの家のデザインがもうフランスー!というかっこよさ、ボクでもむらむらむらと。。。。をい。それがどうなるか、は、自分で観るべし。この中年社長とのエロチックなくだりもすごく好きだな。
 自称100歳の老婆は旧貴族のようでありながら、読んでくれとさしだす本は、マルクス、レーニン。ひどくアクが強くて、それに輪をかけたようなメイドがからむ。その二人の間にも女のセックスの確執、というのはたいそうか、要はセックスなんだよ。
 そして、最後は、うひゃ、ボクも爺になったら、アレの類を読んでもらって、にんまりと。
 とにかくねっちりどろどろっとしたのが好きなんだけれど、逆に『読書する女』のようなさらっとしたのもボクには絶対必要。すごく好きでもう何回か観てます。 

「君はキスをするときにわたしに耳を向ける。そして空気にキスをする。」

  ★★★★★  


2001年12月12日(水)
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