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 ▼ 三池崇史『オーディション』 (99 日)


 「村上龍原作は映画にしてもおもしろくない」というもっぱらの風評。
この『オーディション』にしてもやっぱりかと思わせる前半。三池崇史にしてはあまりに淡々としている。ところがどっこい後半から俄然三池崇史の面目躍如というところ。とにかく観てるだけで痛い。
 だいたい我が家では、スプラッター、オカルト、ホラーはご法度だから、ボクはこっそり観てます。まぁ、ボク自身もあまり好きちゃうけどね。原作はとうに読んでたから、痛くなるのは予想できて、だから一人なのをいいことに、しかもヘッドホンして観てたのに、いざ後半の痛いところでみんな帰ってきたから困ったやん。
 どばっ!がすっ!びゅっ!といった劇画チックなスプラッターでなくて、動けなくなった石橋凌に馬乗りになった椎名英姫が「きりきりきり」とにっこり笑って。。。だからタチが悪い。どばっ!がすっ!びゅっ!なら、またまたバカこいてぇーと、血が飛び散れば飛び散るほどに白けて鼻でせせら笑ってんだけどねぇ。「これはねぇ、骨まで簡単に切れちゃうんだよねぇ」と、あれはなんて言うのだ?チェーンソーじゃなくて、刃のついた針金を足首に巻き付けて、わたしこれからあなたのあしをせつだんしますとは言うてないけど、足を切断する遊び。怨念だとか、憎悪から足首を切断するのでなく、単なる遊びで足を切断する。このときの椎名の顔はあどけなくてとても素敵。
 実はこのあどけないことが、   なんだね。敢えてここでは書かないけど。
 後半、大杉漣が出てくるあたりから一気に盛り上がっていく。後半だけとったら★4つか5つあげちゃいます。前半の『失楽園』@みのもんた的つまらなさがねぇ・・・オーディションシーンでももうちょっとなんとかやってくれるかと期待したのに。とにかくこの映画は「きりきりきり」に尽きる!
 この『オーディション』あたりの村上龍好きなんだよね。『ピアッシング』だとか、『イン・ザ・ミソスープ』だとか。ちなみに村上龍著『オーディション』はmago's favorites にアップしてあるのでよろしく。そうなんだよ、映画の前半で、mago's favorites に書いたことが全く表現できてないんだよなぁ。原作、読んでなかったら、前半と後半の落差、まっしぐらなんだと思う。三池監督はそこを狙った前半、というのは考え過ぎか。

CinemaScape  ★★★  


2001年12月16日(日)
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