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 ▼ ルイス・ブニュエル『昼顔』 (67 仏・伊)


 『昼顔』が公開されたころ、ボクはまだ厨房で、当時ようやっとエロっぽいのが映画館にかけられるようになって、例えば『砂の女』、『恋人のいる時間』などなど。でも厨房は厨房だからそういうのを正面きって映画館に観に行けない。しかたがないので新潮文庫の『昼顔』を買って、カバーのドヌーブの背中だけ眺めてた。ようやっと18Kが観れるようになって、もうその頃は成人映画を観まくりだったせいもあって、初めて『昼顔』を観たときには、なんだ、おっぱいさえ映っておらんではないか、エロくないじゃん。。。(笑) 甘い、青い! 
 エロいねぇ、この『昼顔』。いやそれでも最近のAV観まくりのこーこーせーには、どこがエロいのと反撃喰らうかもしれないけれど、やっぱりエロいのだ。ドヌーブを撮った監督はすべからく脚フェチと言い切ってもいいかもしれません。しかも当時もうすでにスターだったドヌーブを使ってこんなことしていいのか! というのは偏見でしょうか。どうもそのころ、ドヌーブというと、彼女さえ出しておけば内容なんてどうでも当るという作られ方してるんじゃないかという感じが強いから。そんなスター様をSMもどきまでやらかしてしまうとは。をい。実際、ドヌーブ自身も「なんでこんなことやらなアカンのん」と泣き入れたらしい。
 しかし、のっけから、(-_-)/~~~~ピシ! とは、巨匠やってくれます。それが渋谷で石投げたらあたるようなAVねえちゃんでなくて、ドヌーブなんだから、もうたまらんっちゅうの。ボク、あの背中だけで逝ってしまう。。。もう何度も同じことを書くんじゃない!って、いや、しかしこれは最大の見モノでしょ。ちゃんと保存しておかないとね。
 ドヌーブの性的妄想が日常にはみ出して。。。という形をとっているけれど、うがった見方をしてみれば、ブニュエルの妄想なのでないか、いや、妄想そのものと言い切ってしまいましょう。ドヌーブの妄想としてはさまれる決闘シーンで、ドヌーブのこめかみに銃弾がうちこまれるんだけど、今だったらどばっと飛び散る血しぶきになってるんだろうな、ところがこめかみから一筋血が流れている。それがブニュエルのセンスの良さだと思うのね。
 とにかく巨匠の妄想をがっぷり受けて立つドヌーブ、けなげ、じゃないですね、そこんところが並の女優でなかったと言うべきでしょう。ブニュエルとドヌーブのばちばちと飛び散る火花。同じ組み合わせでもう一本『哀しみのトリスターナ』もマスト。なんで邦題になると『哀しみの』なんて付くのか。いまとなっては探すの大変なんだろうけど。
 とにかくドヌーブの美形最高峰のころでしょ。初めて客をとったり、日本人(中国人? 思いきりスケベ臭い!)がやってきたりしたときのドヌーブの歪んだ顔がたまらない。このサディスト! ボク的にはアナイス(ジュヌビエーブ・パージュ)が好み。ドヌーブに惚れるチンピラもいかにもパリ的チンピラという雰囲気があっていいなぁ。スカみたいな死に方しよるけど。
 なんかさ、同時代ということもあって、若尾文子+増村保造とオーバ−ラップしてしまうんだけどなぁ。

  ★★★★☆  



2001年12月18日(火)
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