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 ▼ スティーブン・ダルドリー『リトル・ダンサー』  (00 英)

 眠かった。なんだこりゃ、ヘタすりゃ、『フラッシュダンス』少年版じゃないかと、こっくりきかけたときに、突如、
   ウォウォウォウォー・・・・・
ロンドン・コーリング」かっこいいいいい。これでパチっとスイッチが入った。ビリーのステップも軽快になった。あそこの全く予想できない音楽の使い方は抜群。でもね、「ロンドン・コーリング」をボクが知ってるから、まざまざと「ロンドン・コーリング」のジャケット(リンクしといたから、知らない人はとりあえずジャケットをチェックすべし!)が浮かんでくるから、あそこであれだけはまるんでしょ。知らない人、とくに中学生とかが観たらどうだったんだろう。CinemaScapeのピロちゃんきゅ〜さんのコメントが言うようにまさに
「やはり血わき肉踊る。あれが兄貴の精一杯のダンスだったという哀しい比喩なのか?」
 そのコメントにほぼ全面的に賛成。悪くはない。実際にあのラストのショットには一瞬ほろっとさせられもした。悪くはないんだけれど、どことなくすっきりしない。そんなにみんなが良い、良いというほどいいのか。みながいいというほど、そうかぁ?と疑問を投げ掛けるひねくれもんだからね、ボクは。親兄弟の家族愛、同胞愛を描いているのだったらきっと嫌いだ。少年の健気を描いているのだったらもっと嫌いだ。
 ところで原題はずばり『Billy Elliot』。『Little Dancer』じゃないのだね、ちょっとホッとしたよ。『ビリー・エリオット』じゃ、まぁ何だかわからないからだろうけれど、『リトル・ダンサー』と「少年」を出してくることで矮小化させてしまってないか。ボクはそういう偏見で観始めてしまったが、一般的に『リトル』をそのまま拡大解釈してしまってる節があるようにも見えるのだけれど。つまり「少年の健気」に涙。。。
 話は戻して、なんとかもちこたえられたのは、おもしろいことに、中途半端さのおかげ。どれをとっても中途半端なのだった。上に書いた「少年」の健気さをいやらしく描いているのでもなく、家族愛、同胞愛を嫌みったらしく押し付けてくるのでもない。オヤジの頑固さ、「男とは」にはいい加減、辟易してたけれど、それも頑固一徹星一徹でなかった。が、あのクリスマスのシーンは哀しい。それがあまりに美しく撮られている故になおさら哀しい。きょう、クリスマスイブに2ショットになれない人向き、ひとり淋しくこれ観て泣きましょう(苦笑)
 師弟愛を押し付けてくるのでもない。ビリーをバレーにひっぱりこんだ女の子もいつの間にか消えている。それらもろもろの中途半端を帳消しにしてしまうくらいにビリーの踊りがすごいのかというと、これまた中途半端。よく言えば中庸の美徳ってところなんでしょうか。
 ということは、ラストで成長したビリーがばっとステージに飛びだし舞い上がるショットで終わってしまうとういうのは、「ゑ、おしまい? もっと観たい!」という中途半端な終わりかたをしてしまうのだけれど、ボクはあれでひどく満足。「白鳥の湖」を長々とやってくれちゃったらと思うとぞっとする。
 ところでアステアにはならなかったんだよね。

★★★  



2001年12月24日(月)
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