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 ▼ ペドロ・アルモドバル『オール・アバウト・マイ・マザー』 (99 仏,スペイン)


全世界の女性たちひとりひとりの心を
深く揺り動かした、
今世紀最後の愛の賛歌!

最愛の息子の死を乗り越えて母は旅立つ・・・

 これって、「母性愛」だの、「父性愛」(全くと言っていいほど描かれてないのだが)だの、小難しいこと考えなかったら絶対面白い。じゃあ、不幸にして考えてしまったら.....(苦笑) 上のようなキャッチコピーにのせられて観てしまった人、ごシュウショウサマです。
 始まって20分?ほど、要は起承転結の起のところで、あじゃっヽ(゚_゚>)と思ってしまいまった。マジ、アルモドバル???と?が3つほど。なるほど、これで足許すくわれてしまうんだね。ここでアルモドバルの仕掛けにまんまとはめられると何がなんだか、どこからどうつながって、ドラッグやゲイにつながるんやら...
 ちなみに、CinemaScapeでアルモドバルを検索してみると、『セクシリア』、『バチ当たりの修道院の最期』、 『グロリアの憂鬱 セックスとドラッグと殺人』、『マタドール 炎のレクイエム』、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』、『欲望の法則 』、『アタメ 私をしばって!』。。。。。これぐらいでカンニンしといたろ。
 トンネルを抜けた途端に、アルモドバル全開、いわゆる4速に入ったというわけ。をいをいをいという役者がずらぁ〜〜っと。
ウマ(マリサ・パレデス)、アグラード(アントニア・サン・フアン)、ロサ(ペネロペ・クルス)、ニナ(カンデラ・ペニャ)。をっと、母ちゃんマヌエラはセシリア・ロス。
実はこの母ちゃんはメイン・アクトでありながら、言ってみれば司会進行役でしかないのだ。ほっとくと収拾がつかなくなるからね。このメンツの中で一見まともに見えるペネロペ・クルスでさえ、「バチ当たりの修道女」の役回りなのだ。まわりで演ってるほうはおもろくてたまらないだろなぁ。
 この一癖も二癖もありそうな役者を集めて、『欲望という名の電車』を演じさせてみたり、母ちゃんの部屋やら、楽屋で入替り立ち替わりに「」付きの女たちをぎゃんぎゃんしゃべらせてみたり、「わたしは長いことしたことないわよ」なんてウマのセリフはもう最高に爆らせてもらいました。「フェラチオ」というの何回出てきた?
 そしてとどめは、父ちゃん=ロラ(トニー・カント)、一瞬、マイケル・ジャクソンかいっていうほどの白塗り。ずっと隠しておいて、ああいうふうに出してくるかい。しかもロサのボケ父ちゃんの伏線が思いきり効いてるんだよ。この再会の愁嘆場なんて、アルモドバル撮っててもう楽しくて仕方なかったんだろうな。
 一見、メインテーマに見えそうなヒューマニズムを、味の素でしかないように見せかけておいて、その実、底できっちり貫いてしまっている。つまり、ラテンですよ、ラテン。(じゃんじゃか大騒ぎして、どこか哀愁・・・って、ちょっと説明しすぎ(^_^ゞ)
 ずばり、これは「女なんて演じるもの」。そんなもの、起の部分で『All About Eve』が出てきた時点で気がつけよ。

Todo sobre mi madre

監督,脚本 ペドロ・アルモドバル
撮影 アフォンソ・ベアト
音楽 アルベルト・イグレシアス
出演 セシリア・ロス / マリサ・パレデス / ペネロペ・クルス / カンデラ・ペニャ / ペネロペ・クルス / トニー・カント
★★★★☆




2002年01月10日(木)
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