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■ ▼ ギャスパー・ノエ 『カルネ』 (91 仏)
まず断っておきます。気の弱い人、血を見たくない人は絶対に観ないでおきましょう。R-15指定なんだから。あたしゃ、スプラッターもんは平気だという人も要注意。マジに血が流れます。どどどdばぁーっと流れます。馬の首がたれ下がります。冗談じゃないです。悪いこと言わないから観ないでおきましょう。アレ、モノホンだよなぁ、アレが作りモンだとするとでき過ぎている。 まず頭のシーンでハンマーで数発どたまをかち割られたような。いや、ずばり屠殺される馬になってしまったように、くらくらと倒れていくような感覚。 ボクはスプラッターは大嫌いなのね。あれは、どうだ怖いだろ、きもいだろ、きゃーっという見せる側と見る側の馴れ合いの上に成り立ってるからで、そのつもりで見たら反吐はくこと請け合います。ボクはやるならやってみろよといつも思ってるので、がぁーほんまにやるかぁと、やってくれるじゃねぇか。人間を殺るのは犯罪だけど、馬の屠殺シーンを見せたところで文句ないでしょ(わざわざ見せることもないという意見もあるだろうけれど)。現に、その「数日後」、その馬肉ステーキ食わせてんだから。 『カルネ』では一切の《馴れ合い》は排除されてしまっている。
長々と冒頭シーンのご注意を書いたけれど、あえて見ようとしない部分をぼーんとつきつけられるのって....ここで、この映画がどうなんだか決まってしまうなと思う。 そこからは粗削りではあるけれど、このあえて見ようとしない部分をつきつけ続けられることになる。たった40数分のことだが。頻繁にはさまれ神経を苛立たせるばんっという音。ひたすら馬肉の骨をぶった切るのにふりあげられる包丁。もの言わぬ娘の目。いやがおうにも膨らみつつある胸。目の前のナイフに、なぜなんだという呆けた男の顔。かたかた動くオモチャの馬、そして延々と続く呪詛ともとれる馬肉屋のボソボソ。。。。それらを正視できるかどうかは、馬肉ステーキを喰らうものの責任義務だと言ったら言い過ぎかい。 それをひとりよがりじゃないかと言い捨てるのは簡単。神戸の酒鬼薔薇を少年が異常なのだと言い捨てるもの簡単。どっかに責任を被せるのは簡単だし、なによりもボクらはそうすることで自分自身を納得させてしまっている。そういうボクらが、この40数分、正視したところで、たかが映画の中のことなのだから。がちっと突きつけられて下さい。ボクはそれくらいしても文句は言えないんじゃないかと思う。 ちなみにcarneとは、「肉、馬肉、肉体、ふしだらな女」という意味
Carne 監督・脚本 ギャスパー・ノエ 撮影 ドミニク・コリン 主演 フィリップ・ナオン / ブランディーヌ・ルノワール / フランキー・バン / マルティーヌ・オドラン
★★★★☆
2002年01月12日(土)
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