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 ▼ リュック・ベッソン『ニキータ』 (90 仏)


 『ニキータ』好きです。『レオン』はいまいちだけど。この二つ、ほんとに非常に好対象。男は黙って引き鉄を引くと言いたいけど、それが逆に感傷的過ぎでないかい。ああいうクールさというのはあまり好きでなくて、ラストに自爆して何なんだという疑問しか残らなかった。逆に『ニキータ』のように喚き散らして、揚げ句の果てに自己撞着引き起こしてぐっちゃぐちゃになるというほうが好み。ぐっちゃぐちゃになって、逃亡を企てる。この生命力の差だな、好き嫌いというのは。

 どうしても比較してしまうんだけれど、『レオン』とゴルゴ13とどうもダブっていけない(笑) 表情が動かないんだよなぁ。それが売りなんだろうけれど。『ニキータ』の終盤で出てくるジャン・レノ扮する掃除屋が『レオン』のプロトタイプなんだから頷けるが、その掃除屋自体がニキータと対極をなすのでなかったのか。ニキータの表情の豊かさを凍らせてしまったのが掃除屋だった。ボクは、そのニキータの表情の豊かさが好きなのだから。。。。ニキータが笑顔を作ろうとするシーン、これ、どんなアクションシーンより名場面だよなぁ。もうひきつった頬が緩むに緩まない、ニキータの顔が最高。そしてあのジャンヌ・モローですよ。ジャンヌ・モローとアンヌ・パリローを一つ鏡に収めてしまう。これってね、私生活でリュック・ベッソンがアンヌ・パリローに贈った最高のプレゼントだったんじゃないかと、要らんこと考えてしまいます。
 全編を通してニキータの表情、顔がどんどん変わっていく。それが『ニキータ』の全てだと言い切ってもいいんじゃないか。そしてそれはアンヌ・パリロー自身によるものというより、リュック・ベッソンによるところが大きかったんじゃないか、やっぱり恋愛にはかなわないもんね。
 ボク個人的にはどうでもいい(笑)と思ってるアクション・シーンだって、レストランでのシーンなんてすごくかっこいい。トイレに逃げ込んだときに窓が塞がっているのに気がついたときのニキータの狼狽ぶりは一気に少女ニキータに戻ってしまっていたし、さらに逃げ込んだ厨房での銃撃戦では再び「アサシン」に戻っていた。厨房のかげに隠れて身構えるニキータのかっこよさ、どうよ。こんなかっこいいのを作ってしまうからダメなんだよなぁ。だから、だから、なんだよなぁ(笑) レストランの派手さに比べて静かだけれど、ベニスでの狙撃シーン。このときの軍用ライフルを組み立てるところが、これまたすごくクール。そしてバスルームのドアを通しての、あれは心理アクションとでも言うべきシロモノ、音や動きが派手なばっかりのドキューンよりずっとずっとはらはらどきどきだって。なのに、なのになんですよ(苦笑)
 ジャン・ユーグ・アングラードとチェッキー・カリョ。ニキータへ対極的な二通りのアプローチをする男二人の語りによって閉じられるラストはとてもクール。
 ニキータは破壊され、そして再生していく。が、その破壊者である掃除屋が生き延びてしまったのも皮肉な話。

Nikita
監督・脚本 リュック・ベッソン
撮影 ティエリー・アルボガスト
主演 アンヌ・パリロー / ジャン・ユーグ・アングラード / チェッキー・カリョ / ジャンヌ・モロー / ジャン・レノ
★★★★




2002年01月15日(火)
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