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 ▼ アンヌ・フォンテーヌ『ドライ・クリーニング』  (97 仏,スペイン)


 フランス版『不機嫌な果実』・・・・って、ボク、その『不機嫌な果実』はほとんど知らない(ヘ。ヘ) あ、じぇんじぇん違いますよ、『不機嫌な果実』とは。
 これはボク的にはかなりやばいです。あーん、ちょっと、わからない人にはわからないかも。ボク個人的には妙にわかってしまって、はらはらどきどきしてしまった。こういうバランスというのは非常にあぶなっかしい。だけれども、そうしたバランスというのもどこかで必要だったり。。。。なんて思えるようになったのは、ほんのここ数年のこと。アンヌ・フォンテーヌ監督自身のことばを引くと
「夫婦とは何か、同じ人と何十年も暮らすことは可能なのか。そんなモヤモヤした疑問が以前からあって、脚本を書き始めました。これは不倫を超越した作品。欲望と性のアイデンティティーについての寓話(ぐうわ)なのです」
 ロイック(スタニスラス・メラール)という姉弟で「夜の女王」というコンビのクラブ芸人の弟。彼がジャン・マリー(シャルル・ベルリング)とニコル(ミュウ・ミュウ)の夫婦で営むフランスの片田舎のドライクリーニング屋にやってくるところが発端。この「片田舎のドライクリーニング屋」というのがものの見事に象徴的に表されている。それと、キーになるスタニスラス・メラールという新人を起用したことも大ヒット。ひょうひょうとした演技ながら、アンドロギュヌス的魅力を十分に引きだしている。そしてシャルル・ベルリングとミュウ・ミュウの渋い役者を揃えたこと。派手なオーバーなアクションじゃなく、その人でなく、演技そのものをじっくり見せてくれます。この三者三様の絡みがひどくエロくって、と言っても見えるわけじゃないのだけれど、ぶんぶん妄想をかきたてられるのにはほんと困ったもんだわ。
 確かにこれは不倫話じゃないね。ロイックを間にした三人の三角関係で、その三角関係が絶妙なバランスで成り立っていた。それを引き起こしたのが「片田舎のドライクリーニング屋」であれば、それを崩すのも「片田舎のドライクリーニング屋」。ドライクリーニング機の窓から絡まるように洗濯物がくるくる回る映像がほんと象徴的。
 ジャン・マリーの年老いた母ちゃんもいい味出してます。「片田舎のドライクリーニング屋」をサイドからもっともよく表しているのも見事。無駄なシーンがほとんど見つからないね。
 ラストにジャン・マリーとニコルが無言で歩き続けているというのも意味深。このアンヌ・フォンテーヌという女性監督は要チェックだな。

Nettoyage a sec
監督 アンヌ・フォンテーヌ
脚本 アンヌ・フォンテーヌ / ジル・トーラン
撮影 カロリーヌ・シャンプティエ
音楽 エドゥアール・デュボワ
出演 シャルル・ベルリング / ミュウ・ミュウ / スタニスラス・メラール
★★★★☆




2002年01月19日(土)
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