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 ▼ ルイス・ブニュエル『黄金時代』 (30 仏)


 社交的であることを嫌い太陽を避け岩陰に身を潜める
 孤独を好み侵入者は断固として排除する


 『アンダルシアの犬』に続く2作目。ブニュエル自身が「『アンダルシアの犬』には社会批判はないが、『黄金時代』にはある」と語るようにかなりヤバい。ヤバいからしてこれまでまともな公開はされることなぞなかった。そりゃそうだろ、バチカンの上にヘリコプター飛ばしての空撮だもん。しっかりヘリの影が映ってる。
 まずはいきなりサソリのシーンに始まって「ソドムの百二十日」に至るまで。うはうはの連続。これ、やばすぎくない?の連続。ラストのキリスト演った俳優なんて暗殺された。というのはウソですが、秘かに殺されていても不思議でない。
 よく考えてみると、サソリを先頭にこんだけ動物の出てくるブニュエルってのもないんじゃない。ベッドで牛が寝ていて、ほんとの牛だぞ、そいつがもそもそ出ていくときのカウベルの音がすごく印象的。よくぞあんなもの引っ張り出せたなと思っていると、荷物満載の馬車が晩餐会の会場になんの違和感もなく、あ、大ありか(笑)、現れて、その荷物の上ではおっさんが酒瓶をラッパ飲み。それがブニュエルなら当然と言わんばかりにドタバタじゃなく、それこそ何の違和感もない。ごちゃまんと登場する人物と同列でしかありえない。だから、ぐしゃっとカナブンが踏みつぶされるのだって生きてくる。
 その人間にしたって、サソリのあとの「それから三十分後」(どう30分後なんだかようわかりませんが)に、最初に登場するおっさんの顔も素敵。出てくるのが主人公らしき二人を除いて、なんら脈絡なく、すべてがサソリと同じように、あるいはそれ以下に単なるモチーフ。だけども、盲だの、『エル』だの、インパクト十分すぎる。脈絡ないことはないんだけれどしいかり結びついてたりするから、ふんふん筋立てなんぞ見てなくてもなんて侮ってられない。
 ブニュエルっていうと、あまりに衝撃的すぎるためか『アンダルシアの犬』と出てくるけれど、以降のブニュエルはどっちかというこの『黄金時代』を引きずってたんだなと思える。どっちにしろ、これらが1930年、今から70年前に撮られていたということが\(◎o◎)/!
 「ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの『 黄金時代』賞」なんてのがあるんだね。

L'arge D'or
監督 ルイス・ブニュエル
脚本 ルイス・ブニュエル / サルバドール・ダリ
出演 ガストン・モド / リア・リス
★★★★☆



2002年02月03日(日)
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