nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ▼ 木俣堯喬『鍵』 (83 日)

 谷崎潤一郎原作『鍵』 これにはこの木俣堯喬監督を含めて5度映画化されてる。ちなみにCinemaScapeから拾ってみると
59年 市川崑監督 / 京マチ子・中村鴈次郎 (3.7)
74年 神代辰巳監督 /荒砂ゆき・観世栄夫 (2)
83年 木俣堯喬監督 /松尾嘉代・岡田眞澄 (-)
84年 ティント・ブラス監督 /S.サンドレッリ・F.フィンレイ (-)
97年 池田敏春監督 /川島なお美・柄本明 (1.9)
()内はCinemaScape平均点 (神代監督はリクエスト中、木俣監督、ブラス監督は未登録 またエブラヒム・フルゼシュ監督=イラン映画は同名で全く別物)

 それほど映画を撮る側からすると魅力的なんだろうか。恥ずかしながら、これまでどれひとつと見てないので何とも言えないです。まぁ、池田監督作品のが平均点1.9というのは推して知るべし。簡単にわかるでしょ。女優の問題(苦笑)
 これ、原作からすると、かなり映画化するのは難しいと思う。原作では夫婦それぞれの日記による告白で、その日記を互いに秘しておくのが「鍵」なのだから、この「鍵」をどう表現するかがキーになると思う。で、この木俣監督作品でははっきり言って、その点に関しては惨敗と言ってもいいのでないだろうか。
 他を見てないからほんと言い様がないんだけれど、やっぱりこの『鍵』でネックになるのは女優なんだと思う。そうしてみると、京マチ子、荒砂ゆき、松尾嘉代、川島なお美とどんどん外れていく気がしないでもない。ちなみに谷崎潤一郎は市川崑監督作品を見て、山本富士子がいいと言ったとか。
 松尾嘉代はボク個人的には嫌いじゃないんだよ。でも、この83年当時ではもう薹(トウ)がたってしまってた。最初に、松尾嘉代の顔がアップになったとき、あれれ、こんなんだった?と、イメージ狂ってしまってた。ボクだけの感覚かもしれないが、彼女はこの郁子、谷崎のイメージじゃないんだよねぇ。もっとしゃきしゃきした淡泊な、淫靡というには程遠い感じがする。それでも進んでいくうちにそのイメージのズレも結構修正はされたけれど、やっぱりどこか違う。松尾嘉代自身、この時点で売れなくなっていたような、それでここ一発で、あの松尾嘉代が脱いだ、大胆な性描写と騒がれていたような。。。おぼろげな記憶がある。この『鍵』は日活ではないけれど、日活の最後近くになって、売れなくなった女優をどんどん脱がして売ったのもこの頃。その中のひとつのようにも扱われていたような。
 谷崎潤一郎原作『鍵』という看板を外してみると、そこそこに楽しめるのは、逆に松尾嘉代だから。やっぱり彼女は上手いですよ。岡田眞澄というのも?モノなんだけれど、夫である岡田眞澄の最期に乳首を吸わせるときの松尾嘉代のふっと微笑むあたりなんかは彼女だからこそ。
 で、この木俣堯喬監督は大蔵、ミリオン、国映といった独立系のピンク映画を渡り歩いた監督で、エロさの見せ方となると絶品。かのポラロイドシーンなんてのは汁モノだよ。カラミよりずっとずっとエロいの。最後の1枚なんてああもうエロいのなんの。ボクはもうこのシーンだけでいい(爆汁)
 返す返すも谷崎潤一郎原作『鍵』を外して、これを下敷きにしたピンク映画としてほしかったな。それを外せなかったのは、松尾嘉代(または岡田眞澄)サイドの問題だったのか。文芸作品なら許せてもピンク映画となると許されなかったのだろうか。ここでこれだけ演れるのならどっとピンクに走って欲しかった。

Wittgenstein
監督・脚本 木俣堯喬
プロデューサー 若松孝二
出演 岡田眞澄/ 松尾嘉代/ 江上慎吾/ 田口由緒/ 渡辺文雄
★★☆



2002年02月07日(木)
 ≪   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


My追加