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■ ▼ ジル・ミモーニ『アパートメント』 (95 仏 伊 スペイン)
男の優柔不断と女の嘘が悲劇を創りだす。と、言い切ってしまいます。 2年の時って、そんなに長いものなのか? 竹内まりあの『駅』もそうだったけれど。。。 マックス(ヴァンサン・カッセル)は2年前に突然終わってしまったかつての恋人リザ(モニカ・ベルッチ)に偶然見かけたような気になる。この優柔不断男マックスの中ではまだ終わってなかったんだねぇ。そのときすでにマックスは婚約していたというのに。リザらしき女がいた電話ボックスでリザの残り香、痕跡を漁るマックスのどうしようもなさ。どういうわけだか、わかってしまうからイヤになる。そういうボクも多分に優柔不断男の素質十分なのかも。 婚約者もそっちのけで、リザへの手がかりを追いかけるマックス。というところから、話は急にサスペンスじみてくる。ついにはリザのいないまに部屋に忍び込むのだが、そこへ戻ってきたのはアリス(ロマーヌ・ボーランジェ)だった。そしてマックスには自分がリザだと名のるのだった。 起承転結の承あたりから頻繁に2年前のできごとがフラッシュバックされる。この時間の切り換え、さらにはマックスから見た世界、アリスが見た世界の視点の切り換えががスピーディーで見事。へたすれば何が何だかわからなくなるだろう。そこにマックスのリザ探しを手伝う友人リシュアン(ジャン・フィリップ・エコフェ)がからんでくると、ラブロマンスがサスペンスの手法で語られ、知らない間にずんずん引き込まれていく。 ところで、恋愛はすれ違いの連続だというのは真理だと思う。そしてこの映画に描かれるすれ違いはあまりに精緻。すれ違いがあればこそ成り立つ映画なわけ。ただ、念入りにすれ違わせてくれるもんだから、そのあまりの精緻さがこざかしいとも感じてしまうのも事実。そう部屋の鍵を地下鉄の通風口?からつまみあげるとこなんかくどいんだよ。そしてマックスのあまりの優柔不断さにいい加減うんざりだね。だからあの結末は予定調和であるかもしれないが、しかしなぁ・・・という気がして仕方ないんだよ。 偶然が挿し挟まってくるのはサスペンスの必然。謎解きにそれはないぜセニョリータ(古っ!)っても、そういうことにして見るとおもしろい。あ、そかそか『裏窓』のラブロマンス版なのだ。あの階段のシーンはいいよね。 女優はね、かのマックスの婚約者サンドリール・キベルラン、これは論外(笑)で、ロマーヌ・ボーランジェか、モニカ・ベルッチかってことになる。話の上では ロマーヌ・ボーランジェがいちおうメインでしょ。でもボクは断然モニカ・ベルッチ。あの朝、電話を(あ、そうそう、電話がこの話のキーになってるのも結構定石っぽい)かけに出るときのロマーヌ・ボーランジェの足太かったもん。それに対して、モニカ・ベルッチの白のスニーカー、もう惚れまくり。だから、優柔不断男がああなるのは納得いっても、結局ロマーヌ・ボーランジェが思い描くままに終わってしまうのはねぇ。あの結末は断然モニカ・ベルッチ派としては納得いかないです。
L'appartement 監督・脚本 ジル・ミモーニ 撮影 ティエリー・アルボガスト 美術 フィリップ・シッフル 出演 ロマーヌ・ボーランジェ / バンサン・カッセル / マチュー・カソビッツ / モニカ・ベルッチ / ジャン・フィリップ・エコフェ / サンドリーヌ・キベルラン
★★★★
2002年02月08日(金)
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