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 ▼ エリック・ゾンカ『さよならS』 (99 仏)


 かつて70年代に日活っだったかでよく見たことのあるような。。。ゑ?どれ?って言われてもどれだかわからんのですが。こうした挫折ってのはひとつのテーマだったように思う。
 ありきたりにパン工場で働いているエス(ニコラ・デュヴォシェル)。よくありがちな話でありきたりの仕事はおもろくないからマジメに仕事はしない。だからクビになる。_(o`ヘ´)ゞ..こんなとこやめたらぁーと飛びだすのもありがちな話。で、飛びだした先が都会マルセーユ。そこでいわゆる街の今でいうギャング(カポネとかじゃなくて、チンピラ)の下っぱになってしまう。これもありがちな話。そうした武力社会ではなによりもケンカに強くならないとイカン、というわけでキックボクシング修業。これもありがちな話。そんなギャング社会に憧れはして、実際に強盗などにもかりだされはするけれど、毎日毎日強盗やらかしてるわけでもなく、ボスの婆ちゃんの家政夫やらかされて、ちっさえないのぉーというのもありがちな話。さらにはそれでもらったペイもピンハネする兄貴分とか、どこまでもさえないギャング集団。その中でけなげにボクシングの腕をみがいて少しでも強くなろうというのもありがちな話。けなげにボクシングの腕をみがいてもガードだけでもぶっとばされたり、これもありがちな話。さらにはやっとのことで同じジムの誰かに蹴り一発で仕留めるようになったというのもありがちな話。
 いっぽうそういう生活なもんだから、金に困ってるわけです。ところが婆ちゃんの引出しをこっそりあけて婆ちゃんの昔の写真とか見てはほろっとくるなんてのもありがちで、その情にほだされて婆ちゃんからペイもらうの断ってみたり、う〜んありがちだ。ところがほんとに困るとその婆ちゃんを襲ってしまうどうしようもない情けなさというのもありがち。こうして書いているとデュヴォシェルが小倉一郎のような気がしてくるんだけど。
 ついには敵対するギャング集団から首をかき切られてしまう。とこれもありがちで、最後はまじめなパン屋さんに逆戻ってほっとさせてくれるのもありがち。これから伝説となるであろう勲章をかざったエスが、パン生地に切り込みを入れるのが妙になまなましく思える。
 ありがちのオマケといえば、最初にパン屋を飛びだした直後に女になぐさめてもらってのパフパフ。このとってつけたようなパフパフもありがち。
 はい、このれびゅで「ありがち」は何回出てきたでしょ(笑) まぁ非常にありがちな映画だけれど、あなどれない。だいたい「ありがち」という印象もボクが70年代爺いだからかもしれないぞ(笑) そこそこに楽しめて、そこそこにエスに感情移入せられてしまう。チンピラどももどことなく懐かしくて。『ロゼッタ』とともにフランス映画の新しい方向が見えかけてきているような。
 とりあえずは、ヒマなとき、何かない?ってときにでもどうぞ。

Le Petit Voleur
監督 エリック・ゾンカ
脚本 エリック・ゾンカ / ヴィルジニー・ヴァゴン
撮影 ピエール・ミロン
出演 / ヤン・トレグエ / ジャン・ジェローム・エスポジト / ジョー・プレスティア / マルシャル・ベゾ / エミリー・ラファルジュ / ジャン・アルマン・ダロンバ / イングリッド・プレイナ
★★★☆



2002年02月13日(水)
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