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 ▼ マチュー・カソビッツ『アサシンズ 』(97 独, 仏)


 本質的にバイオレンスものは好きじゃない。これも冒頭のシーンでやばいなと思いはしたものの進んで行くにつれてそうでもなかった。だいたいバイオレンス嫌いって『アサシンズ』なんて(^_^ゞ
 ただ先に文句つけとくと、長い! だらだらと絞りきれない。伏線を撒き散らしすぎなんだよなぁ。その伏線というのはテレビという媒体を通してのメディア。このメディアの使われ方がはじめのうちはとてもおもしろいのだけれど、さすがにちょっとこっちが息切れしてくる。わかるんだけどね。
 簡単には話としては二つある。「殺し屋」という職人の継承。もうひとつはこれは意外に思ったのだけれど、日本と同じようにヨーロッパでも10代の精神的荒廃。日本の事件でいうと酒鬼薔薇やバスジャック。それがヨーロッパでも同様に進行していて、さらにメディアが判で押したようなとらえ方しかできないこと。学校の前での教師とのやりとりなんてほとんど日本と変わらんじゃん、クソ教師、描かれてもなぁ。
 実は伏線として撒き散らかされていたのはこの後者に持っていくためだったのだ。けれどボク個人的には前者のほうが興味深かったから、話が急転直下、後者に受け継がれてしまうと、どうにも疲れがどっと出てきた。後者はどうも生臭すぎるし、結局カソビッツでさえも、テレビの馬鹿バラエティー番組だとか、テレビゲームだとかに帰着させてしまうのかと、もっと目からウロコ的展開がないんかなぁ。
 ミシェル・セローの年老いた殺し屋ヴァグネルが渋いのなんの。彼とマチュー・カソビッツ監督自身のマックスとのからみがいい。テレビに見入るマックスの後ろでマックスの母(ダニエル・ルブラン)とミシェル・セローが話している映像に思わずニンマリ。高速道路と高架線路が二重に架かるのもよくこういうところをロケハンしてきたなとニンマリ。それとか「殺し」の現場で関係なくテレビの音が鳴り響いてるのなんて、抜群のセンス。そうそう『刑事コロンボ』のフランス語吹き替えも楽しめる(どうも小池朝男のイメージがコロンボ作ってしまってるんだけど)。
 ヴァグネルがマックスに「殺し屋」を継承していくのだけれど、このヴァグネルが『ピストルオペラ』の平幹二朗がオーバーラップしてんの(^_^ゞ アクション好きには、どこが「殺し屋」やねんってもんだろうけれど、そこのところはしょぼくないと話にならないんだよっ。雪の中でヴァグネルが撃ったのが当りこそすれ致命傷とは程遠く太腿に当ってるなんてのは逆にうれしくてその後のシーンが生きてくるんだよ。
 「殺し屋」の継承という点に絞って、ヴァグネルからマックス、さらにはマックスの弟分メディ(メディ・ベノーファ)のラインでかなりおもしろかったんだけれど、カソビッツの狙いはそういうところになかったのかなぁ。インタビューで「テレビに限らず、非常に激しい暴力をあつかった漫画、映画…子供たちに、そうした作品をどのように見せるか。きちんとした見方を教えなければならない。」なんてこと言ってるしね。でもやっぱりラストは余計だと思うんよ。ごくありきたりになってしまって。

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監督 マチュー・カソビッツ
脚本 マチュー・カソビッツ / ニコラ・ブクリエフ
撮影 ピエール・アイム
音楽 カーター・バーウェル
出演 マチュー・カソビッツ / ミシェル・セロー / メディ・ベノーファ / ロベール・ジャンドル / ダニエル・ルブラン<
★★★★


2002年02月18日(月)
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