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 ▼ ピーター・ホーウィット『スライディング・ドア 』(97 英米)


あのときもしああなっていたら....
「ifもしも」と同じといえば同じだけれど、この『スライディング・ドア 』では2つの「もしも〜たら」話が同時進行で展開し、テンポがすごく小気味よい。ときには、2つの話がすれ違うかのように重なったりするのがとてもおしゃれ。そういうところは脚本段階ですごく計算されてるなあと思う。
 ヘレン(グウィネス・パルトロウ)がロンドンの地下鉄、いわゆるチューブね、に乗ろうとするときに、乗り込めたヘレンAと乗り遅れたヘレンBに別れてしまう。乗り遅れたヘレンBの目の前を滑り込めたヘレンAを乗せたチューブが出ていくのがひとつの絵になってるんよね。
 さてそこから2人のヘレンの話が始まる。乗り込めたヘレンAは、すっと家に帰ることができたおかげで、同棲中の恋人ゲーリー(ジョン・リンチ)の浮気現場にばったり遭遇。一方、ヘレンBのほうは、直後の地下鉄の事故でタクシーに乗ろうとすると引ったくりに遭って怪我させられると踏んだり蹴ったり。そのおかげでラッキー?にも浮気現場に踏み込まずに済む。が、浮気現場の証拠物件が残ってたりして、そこでのゲーリーの言い訳がおもしろい。しっかりヘレンBが「なんで急にウディ・アレンになるのよ」なんてセリフが飛びだして粋だねぇ。
 いっぽう、ヘレンAのほうは、地下鉄にたまたま乗りあわせたジェームス(ジョン・ハンナ)と、浮気現場遭遇ショックから恋が芽生えて。。。をいをい、そう簡単なものなのか(^_^;… 
 元々ゲーリーと浮気相手リディア(ザラ・ターナー)は恋人で3年前に別れたあとにヘレンが入ってきて、ところが最近ヨリを戻しつつあった。ヘレンBの話では、その浮気があからさまに発覚したわけじゃないから、その後も、うん? こっちの場合はその後もないか、とにかく不倫が継続しつつも泥沼化して行く。
 あーちょっとややこしいでしょ、こうして文章にすると(笑) しかし映画ではほんとぽんぽんとA、Bの切り換えがされるのに、意外とこれらの関係がクリア。ヘレンA、Bの区別がつく仕掛けが施されてたりするけどそれも違和感がない。これほんとに脚本の勝利だね。敢えて言うと、ヘレンAでは、その後のジェームスとの関係が中心になって、ゲーリーはほとんど出番なし。ましてや、ヘレンBではキーになるリディア(ザラ・ターナー)は全く消えてしまってる。とりたてて必要はないけど、ちょっと気になる。
 それで最後は、別々の運命をたどり、どっちのヘレンも可哀想なことになりながらも一人のヘレンに戻してしまう。それもまたしてもドアが閉まって。。。なんてのはとても粋。心情的にヘレンBはずたぼろなんだけど、まぁいいんじゃない、どっちのヘレンもハッピーエンドになることを予感させて。

Sliding Doors
監督・脚本 ピーター・ホーウィット
撮影 レミ・エイドファラシン
音楽 デビッド・ハーシュフェルダー
出演 グウィネス・パルトロウ / ジョン・ハンナ / ジョン・リンチ / ジーン・トリプルホーン / ザラ・ターナー
★★★★


2002年02月19日(火)
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