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 ▼ アルフ・シューベルイ『もだえ 』(44 スウェーデン)


 『悶え』というタイトルで若尾文子を期待しないこと(笑) これはイングマール・ベルイマンの監督デビュー前の脚本によるスウェーデンもの。だからといってポルノを期待しないこと(汁爆)
 何なんしょね、学園もの? その割には高校生ったってみんな老けております。みんながみんな、おっさん臭い。それもそのはず44年、世は第2次世界大戦中。"カリギュラ"(スティーグ・イェレル)と徒名される名前からしてろくでもないいじめの教師と、をっとそれに果敢に立ち向かうヤン・ヴィドゲルン(アルフ・ケリン)、こいつだけはちょいと2枚目。
 どれくらいろくでもない教師かというと、ラテン語の授業中にヤンに訳させてるわけですわ。ところで英訳の時間を思いだせばわかるでしょ、単語の下に意味書き込むじゃないですか。それを見つけてカンニングだ、そいう奴は退学だと、あー、こういう陰険な教師、いまでもおりますですね。で、このヤンはヤンで、たばこ屋のねえちゃんベルタ(マイ・ゼッターリング)が酔っぱらってるのを送り狼というか、正確には食われたわけですが、その後、恋仲になっちゃうわけです。そこへまたしても"カリギュラ"がベルタを犯すと、うをーーっ、いるいる、こういう畜生教師
 と、こういうふうに書けば、殺伐とした学園ものをイメージしてしまうけれど、いまの世の中ではたいしたインパクトないです。そんなふうに女をつくるぐらいで高校生はおとなしいもん。高校の廊下を改造バイクで走るなんて、湘南爆走族かい(^_^ゞ そういうのじゃなくて、他の奴は表立って反抗も出来ずに"カリギュラ"にやられるまま。
 テーマとしては今じゃおもしろくないよのぉ。ただ当時のスウェーデンや、公開当時('66)の日本じゃけっこうなインパクトあったみたいだけど。
 それよりか、T's Soliloquyさんの02/02/21で「建築様式とカメラワーク」と題して「そしてもう一つは、天井の隅などから撮る、ハイアングルショット、もしくはBird's Point Of Viewショット、とも言われているものが目立つ。」と書かれてるのですが、この『もだえ』ではこのBird's Point Of Viewショットが多用されていて、それが当時のスウェーデンの高校の建築様式にビタッとはまってんですねぇ。さらには高低の角度をつけたアングルがほとんどでこれには目をみはるものがあるな。トータルとして表現主義と呼ばれる当時のドイツを発端とする映像で、ベルイマンの資料として見るにはおもしろいかも。

Hets
監督 アルフ・シューベルイ
脚本 イングマール・ベルイマン
撮影 マルチン・ボデイン
出演 スティーグ・イェレル / マイ・ゼッターリング / アルフ・ケリン / グンナール・ビョルンストランド
★★★



2002年02月24日(日)
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