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 ▼ マニ・ラトナム『ボンベイ』 (95 印)


 まぁむちゃくちゃですね。田中康夫ちゃんがヒゲはやしてマリオになって、鈴木保奈美をマハラジャに連れてったような、その恋物語の臭いの、なんの。臭すぎますよ。その臭さがまたたまらなく良くてうれしいのだ。恋する二人が、別れ別れになって、康夫ちゃん一人ボンベイに出ていく列車を見送る保奈美。。。その臭さと言ったら筆舌に尽しがたいのだよ。笑うシーンじゃないのに笑けてしまう。
 とりあえず要約してみると、セーカル@マリオ康夫ちゃん(アルヴィンド・スワーミア)がシャイラー@保奈美マハラジャ(マニーシャー・コイララ)に一目惚れよ。セーカルの猛烈アタックにシャイラーもその気になったのはいいものの、セーカルがヒンズーの家の出であるのに対して、シャイラーはムスリムの出。これはボクらが知る以上に険悪な関係らしい。インド-パキスタン紛争は知っていてもインドの国内でもやってしまってんだ(-.-;) まぁ、そいうところはおいといて、双方の父親のいがみ合いなどが思いきり軽いタッチで描かれていて、完璧にコメディー。こういう両家の敵対関係の悲劇となると、つい『ロミオとジュリエット』のパターンかと思ってしまうのね。で、そのなりゆきとして、二人とも勘当され、親を捨て、故郷を捨てて、ボンベイに移り住むことになる。と、前巻の終わりなのでありました。
 ところで、ほんとそこまでの話はまったく悲劇的じゃなくて、ミュージカルありーの、能天気まるだしの超コメディー。そのコメディーの粋な演出はあちこちに鏤められているので確かめてみて。お電話ごっこ(耳うちで次から次へ伝言していく)のとこなんてすごく好き。そして極め付けは、やっと迎えた新婚初夜、ここでまずはベリーダンスのお姉ちゃんのグラインドで始まったと思ったら、いきなりファンクダンスになって、臭さ丸出しのマイケル・ジャクソンもどきが踊りだして、そこまでやるかぁぁと、さすがボリウッドじゃあああ!というわけ。すっかり観てる側は混乱させられて、インドじゃこういうのもありなわけね、そういう映画なのだと思い込んでいたら、そっからが大変。
 そこからあとの1時間ががらっと一転。実際に起こった92年のアヨディヤ事件に一家が巻き込まれるのを延々と。そこまでのコメディーはきれいにふっとんで、社会派ドラマに。
 これには思いきり外された。こっちはまるっきり準備ができてないわけね。少なくともヒンズーとムスリムの対立を植え付けられていても、そこまでのしゃっちゃかめっちゃか無茶苦茶さ加減に、いくらシリアスに描かれようとも、そのラインに乗っていけない。だけれども、もうとっくにラストの絵なんてのは見えてしまうわけ。それなのに2度にもわたって、その宗教暴動、いや戦争だね、を見せられると、遠い地の出来事と平和ボケしてるボクなんかはさすがにうんざりしてくる。確かに史実に基づいて描こうとした意図はわかるけれど、それならそれで前半の描きようもあるだろうし、また現実に起こった事件をもっとカリカチャュアしていれば、監督自身が伝えたい後半に、観る側をもっともっと取り込むことが出来たのに。この後半なんかもけっこう臭い話がね、たとえば親同士が和解するとこなんかね、思いきり臭いです。
 ほんと作る側のテンションに反比例して、ボクのテンションはだだ下がりだったね。お山でのミュージカルシーンなんてすごくよかっただけに、いっそ、前半、後半、別々の映画として観たかった。ソフトクリーム食ったあとに超激辛カレーを食わされたような、食い合わせが悪すぎ。前半★4,後半★1。
 いまになって気がついたけど、Bombay こりゃヤバイっす!


Bombay
監督 ・脚本 マニ・ラトナム
撮影 ラージーブ・メーナン
音楽 A・R・ラフマーン
出演 アルヴィンド・スワーミ / マニーシャー・コイララ / ナーザル / キッティ
★★☆





2002年02月26日(火)
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