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 ▼ アンリ・ジョルジュ・クルーゾー『密告』 (43 仏)


 この『密告』どころか、監督のアンリ・ジョルジュ・クルーゾーも知らなかった。これは見っけもん。儲けた気分よ。
 『密告』というタイトルからしてわかるように、サスペンスもの、サイコスリラーというところ。ヒチコックなどと同じラインと言ってもいいでしょ。ちなみに調べたら、クルーゾー監督の作品はほかに『恐怖の報酬』 (52)、『悪魔のような女』 (55) 、『ピカソ―天才の秘密』 (56) なんてのがあるのだ。勉強、勉強_¢(0-0ヘ)
 さてと、この『密告』、殺伐とした殺人が起こるわけでもないのに、超怖いのだ。どう怖いかというと、別に霊が出てくるとかじゃないのね。人間というのが怖い。それが、集団の怖さだったり、施政者の怖さだったり、人間の隠された裏の怖さだったり。だから表向きはサスペンスという形をとっていうけれど、人間の素性を暴いているドラマなわけ。それが半世紀前のもので、かつ「とある小さな町」というのに、現代においても十分普遍性があるのが一番怖い。集団の怖さなんて松本サリンのこと思い起こしてしまう。
 怖いといえば、集団に追いつめられた最初の容疑者マリー(エレナ・マンソン)が自分の家に逃げ込んだところで鏡は割られている。その割れた鏡に映るマリーの顔は怖いねぇ。
 話は小さな町の病院に勤める医者(ピエール・フレネー)に脅迫状が舞い込む。おまえが堕胎医で、不倫はしとるやんけというところから始まる。実際に不倫はしとるんだけれど、その脅迫状が医者だけじゃなく、当時のマスコミにも流されて、小さな町は「カラスは誰だ?」と騒然となっていく。カラスというのはその脅迫状に書かれていたイニシャル。
 ラストのシーンがその「カラス」でまたちょっとぞっとします。
 
Le Corbeau
監督 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
脚本 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー / ルイ・シャヴァンス
撮影 ニコラ・アエール
出演 ピエール・フレネー / ピエール・ラルケ / エレナ・マンソン
★★★★☆



2002年02月27日(水)
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