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 ▼ パトリス・シェロー『蘭の肉体』 (74 独仏伊)


 正直白状しとくと何遍も居眠りしてしまった。見ながらぐぅぐぅ寝てしまって....おもろないのかというとそうでもなくて、いちおう言い訳しておくと、ホットカーペットに寝転がってると、すーっと眠りの世界。あれはイカンよ。でも何度も寝てしまうというのはやっぱりどこか退屈なんかもしれない。
 これね、はっきり言って、わけわからん。肝心なところ寝てしまってたからかもしれないな。いちおう巻き戻してみてるんだけど、それでも何となくわかりにくい。
 簡単には遺産相続争いのサスペンス。そのままではクレール(シャーロット・ランプリング)に100%渡ってしまうと、叔母(エドウィジュ・フィエール)がクレールを精神病だとして幼いときから幽閉してしまう。映画の字幕では「監禁」と表わされてるけど、幽閉だな。遺産相続というのは、これがはっきりしないのだけど、とてつもない大富豪であちこちに屋敷があって、その屋敷のうちのひとつに幽閉されている。そしてそのクレールを監視するのにあたっているのが、その屋敷の庭師のおっさんで、このおっさん、クレールがエエ年になった頃から、クレールのカラダを食い物にしてた。当たり前のように犯してたのだ。ついにぶち切れたクレールは庭師のおっさんがすっぽんぽんでベッドに入ってこようとするところをナイフで目を切りつけて逃走する、というのが最初のシーン。
 いきなり屋敷に庭師のおっさんが入っていって、いきなり服を脱いですっぽんぽんになって、いきなりクレールが横たわっているベッドに入ろうとするところで始まるんだから、ををーーっ、いきなり飛んじゃってるなぁと思わされるんだけれど、上に書いたような事情なんて後になってみないとわからんのだよ。何が始まるのかわからんうちに、白馬がひひ〜んだから、何か変。とっても変。
 で、だらだらと筋を書かないとアカンほど面白いものでなかったからやめとくけど、正直面倒くさいし、関係がいまいちわからないのだ。
 トラックの横転事故で運転手が投げ出されて即死状態、というのもかなりインパクトがある。で、その事故ったトラックのかげからクレールが現れて、これも事故との関係がようわからん。さらにその事故現場でルイ(ブルーノ・クレメル)と偶然出会う。ルイの相棒と三人で行動をともにするのだけれど、相棒がクレールに襲いかかって、これまた目を切りつけられる。
 これまた最大のわけわかんねぇ〜なんだけど、爺の殺し屋ベレキアン兄弟(フランシス・シモン)、これが元はサーカスのナイフ投げで綱渡りしながら、『橋の上の娘』のナイフ投げをする。そのなれのはてに殺し屋となって武器は当然ナイフ。ルイの二人組を追う殺し屋なんだけど、これとクレールの関係がないようでどうなってんだか。
  わけわからん、わかりづらいから、いったい何なんだ?モンで、クレールはとにかく逃げるのだけれど、その先でまた監禁、また逃走、また監禁、また逃走、が繰り返される筋立てのよう。
 
 こんなふうに書いたら、とってもおもしろくなさそうでしょ。だけど、おもろいのだよねぇ。何がおもしろいといって、話の本筋とは関係ない名もない人間の動き。
 例えば、レストランで三人が食事している向こう側で、一人で食事するおっさん、何か変。とっても変。クレールの叔母が何人も従者を従えてるのだけれど、この名もなき従者達の行動も、何か変。とっても変。ほかにもいっぱいあったな、《何か変。とっても変》が。この《何か変。とっても変》の数々は見てみる価値があり。見てると非常に不思議な気持になっていく。上ではさらっと書いてしまったけれど、殺し屋兄弟の存在も《何か変。とっても変》で、第一、年食った殺し屋で武器は投げるナイフというのがとってもフランス映画っぽくて花丸。シネマ・イタリアーノなんて劇場も出てくるのだけれど、これも《何か変。とっても変》
 それと1900年頃の話なんかなぁ、美術がとってもいいのだ。

LA CHAIR DE L'ORCHIDEE
監督 パトリス・シェロー
脚本 ジャン・クロード・カリエール / パトリス・シェロー
原作 ジェームズ・ハドリー・チェイス
撮影 ピエール・ロム
出演 シャーロット・ランプリング / ブルーノ・クレメル / シモーヌ・シニョレ / エドウィジュ・フィエール / アリダ・バリ
★★★☆



2002年03月07日(木)
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