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 ▼ 北野武『HANA-BI』 (97 日)


 これってある意味じゃ、たけしのイメージ・コラージュなわけでしょ。何となく甘いな、あれ?って思ってしまうわけ。2チャンネル(関西の人間はまちがってもNHKと勘違いしないように(笑))用語の「逝ってよし」的なところが感じられないんだよね。どーんと突き放されることを期待してしまうんだけれど、意外と、観る側(自分)の底も曝されてしまっているようで居心地が悪かった。と、思ってしまうのは、たけしを評価しすぎなんかもしれない。
 どこかでうんうんと思いながら観ている自分がいて、片方でそれを言ったらおしまいでしょーという自分がいる。それが同じ映像を観ているときに同時に出てくるのだから困ったもんだわ。
 淀長さんがこんなことを書いている。
「俺はおまえが命だよ」とか、要らんこと言わない。(中略)だからふたりは、黙って、黙って、ただ一緒にいる。この黙っているところが、やっぱりたけしの映画、たけしの感覚。
 あの海辺でじっと黙って二人で海を見てる、それすごくわかるんだよ。そこでね、片方で「俺はおまえが命だよ」と思いきり臭くはずしてほしかったりする。
 だからそういう枠を取り外して観てみると、結構おもしろかったりして。基本的に好きだ、この映画。問題のドンパチシーンだって覆いかぶさった下からバスっと発砲された弾が背中に抜けてくるの、あれなんかも派手さはないんだけど、ボクは好きだな。ケーキを2つ買って帰るじゃないですか。そこのところで岸本加世子が2つとも自分の皿にとってしまって、上に乗ってるイチゴだけころんと返す。そんなところでホッとして一人ニヤニヤ笑ってしまってるのね。それだとか、渡辺哲のクルマ屋との芝居なんかほんとホッとする。渡辺哲、ほんといいねぇ。それと、うーん、やっぱり大杉漣の桜の満開の下かねぇ。好きなの、あれ。あれは車イスだからいいというかな、「桜の満開の下」はボク自身の好みだからどうしようもない。
 賛否両論の花の絵はボクは×。だめだぁ、あれは生理的にうけつけない。花というのをひとつのテーマにもってきてるのは◎なんだけれど、たけし自身の描いた絵がこれみよがしに入り過ぎだもんなぁ。たけし自身が
急に花がなぜそこにあるのかわからないんだけれど、だってそこに花があるんだよっていう。
と言うのにね、そこからたけし自身の花の絵に行ってしまうところがなんだかなぁ。
 そしてエンディングももうそれ以前で十分にわかってしまってんだからあの音だけというのはすごい興ざめ。女の子のアップのほうがどれだけ衝撃的だか。
 
La Bete Humaine
監督・脚本 北野武
撮影 山本英夫
音楽 久石譲
出演 ビートたけし / 岸本加世子 / 大杉漣 / 寺島進 / 白竜 / 渡辺哲
★★★




2002年03月08日(金)
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