nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ▼ マルコ・ベロッキオ『サバス』(88 伊仏)


 エキセントリックな女やらせたら天下一品こてこて味のベアトリス・ダル。デビューがかの『べティー・ブルー』、その2年後に撮られたこの『サバス』も十分にダルっぽい。なりふり構わない、というか、表面的な自分をかなぐり捨てた女優って、ダルをおいて他に無いね。
 いきなりあぶない。をっ、なんじゃ、こりゃモンの炎に包まれるダルで始まって、一転、全裸のダルを数人の男がとり囲んで、魔女だとか。ありゃ、オカルトもんを借りてきてしまったのかい(-.-;)と思わせる。オカルトもんってあんまり好きちゃうんよねぇ。『サバス』というタイトルで、ヤバいと思えよ>自分
 表向きの筋としては、殺人容疑で逮捕されたダルが、自分は1630年生れの魔女だと主張し、かなり精神的に錯乱している。そのダルの精神分析にやってきたダニエル・エズラローは、ダルの妄想にひっぱりこまれてしまう。
 現実に起こっていることのシーンと、ダルの、さらにエズラローをまきこんだ妄想の中でのシーンは、妄想のシーンを青をベースにした映像にすることでいちおうのところ分けられている。そして、現実と妄想をつなぐのは、ダルの真っ赤な衣装。この真っ赤な衣装がちらちらと、サブリミナルな効果となって、観る側がまるでエズラローになってしまったかのように次第に何が現実なのかわからなくなっていく。
 エズラローがはじめにやってきたときに街頭演劇のようにステージの上で暗黒舞踏でもないなぁ、狂気のダンスが演じられているのだけれど、それがダルの妄想のサバスへの入り口。サバス(Sabbath サバト)というのは魔女の大集会ね。気がついたときには
エズラローはサバスのリーダーにまつりあげられている、そのサバスでも現実と妄想が渾沌してくる。結局のところ、観る側は妄想の中(それが現実なのかもしれないけれど)におきざりにされる仕掛けになっているのだけれど。
 なんてことをつらつら書いていると、ヤバそうで面白そうに思うだろ。ところが、サバスやら、魔女やらの基本的にほとんどなんもわかってないし、とりたてて興味がないものにはひどく退屈。だったら、なんで見るんだよって、それはベアトリス・ダル見たさの一点だけ。たぶんに作る側にしたって、『べティー・ブルー』で見せたダルをどのように見せるか、その一点にかかっていたのじゃないかと思えるわけ。それにしたら、『べティー・ブルー』のように見る側ががぁーっとダルにはまっていったというわけにもいかず何とも中途半端。

La Visione Del Sabba
監督 マルコ・ベロッキオ
脚本 フランセスカ・ビラーニ / マルコ・ベロッキオ
撮影 ジュゼッペ・ランチ 
音楽 カルロ・クリベッリ
出演 ベアトリス・ダル / ダニエル・エズラロー / オメロ・アントヌッティ
★☆



2002年03月21日(木)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


エンピツ投票ボタン↑
My追加