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 ▼ アキ・カウリスマキ『浮き雲』 (96 フィンランド)


 アキ・カウリスマキってのはだいぶ変わっとるね(笑) 変態というわけでないけど。『レニングラード・カウボーイズ・〜〜』は、パッと見てやめた。だってレニングラード・カウボーイズ、出てたから。なんでかというと、もう10年ほど前にホンモノのレニングラード・カウボーイズをクアトロの前で見たんだよなぁ。まるっきり、あの格好で心斎橋をウロウロしておって、何じゃこいつらと、どうもボクの性に合わないとボクのリストからオミットしてた。
 さて本題、そういう経緯があったから、この『浮き雲』もちょっと用心してた。やっぱり変だ。最初のピアノで、あれあれと、そしたらレストランの客席に一人で座る女の人が妙に気になって、またしても、あれあれ。次は老夫婦で、あれ? どの人間で話が展開していくんだと妙な気分になってるところに、カティ・オウティネンがすくっと立っている。あぁ、多分、これだな、と、とにかくアキ・カウリスマキ初めてなので、ごめんなさい。でもこの登場のしかたもずいぶん変わっとるね。確かにインパクトがある。
 このイロナ役のカティ・オウティネンの登場で話が動き出した。レストランの厨房でのできごとが始まる。どことなく60年代のアメリカのテレビドラマっぽかったり、どう表現すべきなんだろ、とても濃ゆいのだ。それは、登場してくる人間も濃ゆければ、色彩からしても濃ゆい。イロナが市電に乗る。この市電もなんだか妙な雰囲気を醸しだしていると思っていたら、イロナの夫ラウリ役のカリ・ヴァーナネンがその市電を運転していた。妙な雰囲気というのはいつまでたっても抜けないどころか、どんどん深みにはまっていく。気がついたら、カウリスマキの手口にがっちり捕まえられていたということかもしれない。
 ゆったりしたテンポでありながら、小気味よく展開していく。が、話は悪いほうへ、悪いほうへ展開していく。あまりに悪いほうへ展開していくので、ひょっとしたらこれはコメディーなのかとまで。でもこれだけ悪いほうへしか進まなかったら見てるほうまで暗くなるはずなのに、それが暗くならないから不思議。
 きっと誇張のないカティ・オウティネンとカリ・ヴァーナネンがいいんだね。無表情の表情というか、これが逆に過剰演技だとこの話じゃとうにアホくさくて見てられないんだろうけど。とにかく最後の最後まで落としてくれて、最後のタバコはきっと美味いんだろうな。

Kauas Pilvet Karkaavat
監督・脚本 アキ・カウリスマキ
撮影 ティモ・サルミネン
出演 カティ・オウティネン / カリ・ヴァーナネン / エリナ・サロ / サカリ・クオスマネン / マルッキィ・ペルトラ / マッティ・オンニスマー
★★★☆



2002年04月02日(火)
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