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 ▼ ケン・ラッセル『サロメ』 (87 米)


 これのどこが『サロメ』なんじゃい、悪趣味極まりないと怒るのなら、ケン・ラッセルなんて最初からかじらないほうがいい。ケン・ラッセルというのは、変態というか、かなりのところで分裂してるから。ずばっと『サロメ』を演るわけないっしょ。
 『サロメ』の原作のオスカー・ワイルド(ニコラス・グレイス)のために、オスカー・ワイルドの愛人ポジー(ダグラス・ホッジ)がヨハネ、娼館の主人アルフレッド(ストラットフォード・ジョーンズ)が自らヘロデア王、娼館の小間使いローズ(イモージェン・ミラ・スコット)がサロメ、レディー・アリス(グレンダ・ジャクソン)がヘロディアス王妃にその他おおぜいで『サロメ』そのものを演ってしまおうという、いわば劇中劇のスタイル。
 ケン・ラッセルならではの怪しさ、よく言えば頽廃美、悪く言えば悪趣味は、いきなりのストラットフォード・ジョーンズのメイク見たら吐き気催すでしょ(笑) でも彼の存在感はすごいね。それとグレンダ・ジャクソン。それはそれとして、美術、衣装がとびっきりいいなぁ。妙に重くなくて、猥雑感が何とも言えずいいのね。
 それでやっぱり、あっと思わせるのは、サロメ。サロメっていうからにはまずはビアズリーのサロメからイメージしてしまってるわけでしょ。これ、きっちり外されます。ポスターの画像を見てもわかるけれど、あくびなんかしてしまったりして。。。ヘロデア王とのやりとりで脚を大股開きで、王の膝に投げ出しての貧乏揺すりなんてもう最高。それにあのお尻ペンペン。サロメが一瞬二人になるところに注意ね(笑) だからどこがサロメなんじゃいの文句が出てもいたしかたない。あきらめて下さい。ほら、邦題ではきっちり『ケン・ラッセルの』と冠されてるでしょ。
 ボクとしてはやっぱりビアズリーのサロメ、ちゃんとタイトルでも使われている、をイメージしてしまってたもんだから、あれをどうするのかと期待したんだけどね、ケン・ラッセルならやってくれると。意外とあっさりしてて拍子抜け。そのあとのヨカナーンにキスする前のサロメの一人語りでもね、あんまりエロくなかったよね。ちょっとあのキャラでは無理があるよなぁ。首だけのヨカナーンとサロメが舌をからめる超ディープキスやってくれなきゃ。

Salome's Last Dance
監督・脚本 ケン・ラッセル
撮影 ルービ・ハリソン
出演 ストラットフォード・ジョーンズ / イモージェン・ミラ・スコット / グレンダ・ジャクソン / ダグラス・ホッジ / ニコラス・グレイス
★★★☆



2002年04月06日(土)
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