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 ▼ マイケル・ウィンターボトム『ひかりのまち』 (99 英)


 タイトルのつけかたっておもしろいなぁ。原題の『Wonderland』もなるほどと思わせるし、邦題の『ひかりのまち』はCinemaScapeのコメントにもあったけど、見るまでは確かに退いてしまうタイトルだな。だけど見ればなるほどと納得させられるに十分すぎる。
 ロンドンの国会議事堂(?だったよな)のライトアップや、2階建てバス、それらだけでなく、ごくありふれたロンドンの夜景の美しさには目を奪われてしまう。『モスクワ・天使のいない夜』の重苦しさとは全然違うね。それとわざとざらざらさせた映像、これがふつうならイヤミっぽく見えたりするものなんだけど、意外とすんなり受け入れてしまっていた。まんまとはめられたね。それは話そのものにもよるし、ごくさりげない音楽、これ見よがしに聞かせるんでもなくて、ひどく日常を表す音楽に聞こえたから。

 人間関係の説明が面倒くさいので系図作ってやったよ。要はこの家族の群像劇。確かに制作サイドにアルトマンの『ショートカッツ』が下敷きにあったということ。ちなみにデビー(シャーリー・ヘンダーソン)とダン(イアン・ハート)はすでに離婚していて9歳の男の子がいる。ナディア(ジナ・マッキー)とティム()はまだこれからの関係。モリー(モリー・パーカー)とエディ(ジョン・シム)の間の子どもがいままさに生まれんとす。ダーレン(エンゾ・チレンティ)は家出中。父親ビル(ジャック・シェファード)と母親アイリーン(キカ・マーカム)は関係がぎくしゃくしているがいまさら離婚できるような年じゃない。
 ナディアを中心に話は進むけれど、出てくる人間たちみんながどこか今の生活に満足はしていない。何かを求めてあえいでいるというのも変か? とにかく何かを求めてんの。それが例えば、伝言ダイアルでの恋人探しであったり、でもそれでも癒されないでいる。そういうのがごく淡々とした日常として語られていく。でもぽんぽんときっつぅ〜い、特に男にはね、言葉が飛び交う。男の人は見てぐさっと来て下さい(苦笑) 女の人はそだそだと拍手でもしてください。ボクはもうお年のせいなのか、老夫婦の関係ってのもしみじみと。。。それでたまったら、ああいうことばの一つも出てきたりもすんだねぇと妙に納得。
 もうちょっと古くなりつつあるけど、これぞ「癒し系」ですね。

Wonderland
監督 マイケル・ウィンターボトム
脚本 ローレンス・コリアット
撮影 ショーン・ボビット
音楽 マイケル・ナイマン
出演 ジナ・マッキー / シャーリー・ヘンダーソン / モリー・パーカー / ジョン・シム / スチュアート・タウンゼンド / イアン・ハート
★★★★☆



2002年04月11日(木)
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