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■ ▼ ジョン・カサベテス『オープニング・ナイト』 (78 米)
カサベテスと言ったらジーナ・ローランズ抜きに語れなくて、その中でもこれはとびっきり。カサベテスの作品中、ナンバー1。ジーナ・ローランズそのものを描いてしまったと言っても過言じゃないくらい。また、そう思わせるようにできてるし、そう思ってしまう。そこんところが凄すぎる。これはほんとに彼女をおいて他に誰も考えられないもんなぁ。78年度ベルリン国際映画祭主演女優賞なんて当然すぎるって。 1934/6/19 の生れだから、この『オープニング・ナイト』で、44歳。なんて書いてしまうと、「年がいくつでも関係ない!」というマートルのせりふが聞こえてきそうな。実際、女の年をめぐって、65歳の脚本家サラ(ジョーン・ブロンデル)と女優マートルとの熱い論争が戦わされる。ジーナ・ローランズ扮する女優マートルは、押しも押されもしないトップ女優。ここでこのマートルと、映画の中で演じられる芝居のヒロインと、そして現実のジーナ・ローランズの三重映しになる。あ、見てない人には何のことかわからんよねぇ。 マートルは舞台女優で、いまかかっている芝居は、盛りを過ぎた女の悲哀?を描く芝居だった。そこでマートル自身が盛りを過ぎた女とはどうあるべきか、どう生きるべきか悩んでいる。ただ自分の思い描く女は、その芝居の中に描かれている女ではない。そういう女を、自分はどう演じるべきなのか混乱している。そこへ17歳のマートルの熱烈なファンの女の子が現れ、彼女の目の前で自動車事故で死んでしまう。をっ、ということは、そのファンの女の子に17歳のデビューした当時のマートルを重ねた四重構造ということになるか。 とにかく上でも触れたように、ジーナ・ローランズが凄すぎる。死んでしまった17歳の女の子の幻影と出会うシーンなんてのは、彼女の視線演技に尽きるよ。もう最初から最後までジーナ・ローランズの凄みに押されっぱなしの2時間強。ラストは十分予想できるけれど、意外な展開でそのラストはやってくる。ラストが読めてしまうなんてと言うなかれ。あのラストでなければ「hopeがない」だろ。 20代、30代に見たら、ちょっと辛いかもね。わかるようでわからない。わかったようでわかってない。そしてやっぱり50になって「いまが青春だよ」と言えるようにならなきゃ!
Opening Night 監督・脚本 ジョン・カサベテス 撮影 アル・ルーバン 美術 ブライアン・ライマン 音楽 ボー・ハーウッド 出演 ジーナ・ローランズ / ジョン・カサベテス / ベン・ギャザラ / ジョーン・ブロンデル / ゾーラ・ランパート
★★★★★
2002年04月16日(火)
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