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 ▼ エリック・ロメール『夏物語』 (96 仏)



 典型的フランス映画のラブロマンス。だから嫌いな人は嫌い。さっぱりドンパン弾けることも、ハラハラドキドキすることもないです。ただただ退屈。
 ということは、ボクはこういうタッチはすごく好きなんですねぇ。やっぱり、ラブロマンスに限る。ロマンスなくして小説じゃない、とそのようなことを森瑶子が言うてましたでしょ。ロマンスなくして映画じゃない。

 こういうラブロマンスに出てくる男はなんでこんなにも情けないのだ。見てて腹が立ってくるんだろうな。ほら、『東京ラブストーリー』のカンチ=織田裕二だって、優柔不断でどうしようもない。骨のある女から見たらどついたろかと思うくらい。この『夏物語』のガスパール(メルビル・プポー)も情けなさではカンチを上回る。嗚呼、男のボクが見てたってイライラしてくる。何が戻ってくるかどうかわからない恋人を待ち続けますだよっ。と、それに対して、マルゴ(アマンダ・ラングレ)を筆頭に女のストレートなこと。ラストの「ごめん、彼が戻ってくるというから島へは彼と行くワ」なんて、あれは彼なんて戻って来ないよなぁ。それをすらっと嘘でもついてしまえるわけでしょ。ガスパールが待ち続けていたレナ(オーレリア・ノラン)にしても身勝手極まりない女で、だいたいこういう身勝手な女ほどころっといかれてしまうんだよなぁ。ソレーヌ(グウェナエル・シモン)にしてもね、「どううちなの?ouiなの、nonなの、はっきりしなさい」と迫り、「じゃあ、oui 」とガスパールが答えると「その、じゃあが余計なの」とぱしっ!と来るかと思うと、一転思い切りコケティッシュなんだもん、ガスパールならずとも跪いてしまいます。
 思うに、この3人の女たち3人とも魅力的なんだよなぁ。一人選べと言われても選べません(+_+)キッパリ。つまりボクを筆頭に男ってほんと情けないのだよ。いくらいきがったところで、あっちふらふらぁ〜こっちふらふらぁ〜、犬になれと言われれば犬にでもなってあげましょう(苦笑) それにしてもエリック・ロメールっていまいくつなんだ?80はとうに越えてるでしょ。そういう爺ちゃんがこんなラブロマンスを語るんだから、すごいよ、いくつになってもこんなふうに語ってたいよ。

 ガスパールとマルゴが、あ、このマルゴ、字幕では「マルゴ」と記されてるけれど、フランス語ではrははっきり発音しないでしょ、だから「マ-ゴ」に聞こえるんだよ、余計な話ですが。その二人が毎日デートするところね、なんてことはないけれど、毎度毎度、場所がちがう。あと二人の女と会う場所もね。こういうふうになにげにバックに風景を取り込んでいくところはさすが巨匠。このさりげなさというのはラブロマンスには絶対必要不可欠なもの。とびきりの風景である必要がなくて、それがその二人にとって意味があればそれで十分なのだから。こうしたしっかりしたロケハンあればこその映画。だから見てられる、いやそれ以上に魅せられる映画というわけで、なんとも心地よかったのでした。

Conte Des Quatre Saisons: Conte D'ete
監督 ・脚本 エリック・ロメール
撮影 ディアーヌ・バラティエ
音楽 フィリップ・エデル / セバスチャン・エルムス
出演 メルビル・プポー / アマンダ・ラングレ / オーレリア・ノラン / グウェナエル・シモン
★★★★



2002年05月19日(日)
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