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 ▼ エリック・ロメール『恋の秋』 (1998 仏)



 『恋の秋』なんてタイトル見たら、思わずこそばくなって逃げ出してしまいそうだけど。。。春、冬、夏ときたロメールの「四季」シリーズの完結編はまさに人生の秋、つまりちょうどボクくらいの年齢層の、とくに女性心理が描かれた話に仕上がってる。
 夫と死別するなり離婚するなりで、そして子どもが大きくなって、仕事や結婚で自分から離れて行くと、これから先、一人になってどうしようなんてがらにもなく情緒不安定になるらしんですね。でね、意外と自分自身がこの年になってみるまであんまりよくわからなかったんだけれど、高校生くらいの気分にふっと戻ってしまうもんなんだよなぁ。しっかり「高校生ののりよね」なんてセリフもあって、ニンマリしてしまった。
 ワイン造りのマガリ(ベアトリス・ロマン)は夫と死別し、娘はどっか男のところに行ってしまう。下の息子はいるにはいるけれど、もう自分から離れていってしまって、それまで子どもたちに自分自身を投影してきたのに、気がつけばその対象がするりといなくなってる。ぽっかりと穴の開いたような、だからひたすらワインのためのブドウに精を出す日々。なんとか、自分を慕ってくる息子の恋人ロジーヌ(アレクシア・ポルタル)に、その対象をおいている。そのようなマガリの置かれたまさに「人生の秋」的状況をさりげなく会話に織込んでいくところなんか最高にうまいなぁ。わざとらしいおしつけがましさってのがないんだよね。
 さてとその若いロジーヌは、かつて大学の教授エティエンヌ(ディディエ・サンドル)といけない関係にあったらしく、今はもうそのいけない関係を精算してはいるんだけれど、それでもまだ教授と学生という関係は保たれていて、かつて恋人いまお友達という関係を保っておきたいそれで恋人のママにその教授を押し付けてしまえば、将来的に一定の距離をおいた関係を保てると。。。をいをい。援助に走るほどドライでもないんだけど、かなりしたたかね。最後にゃ、教授泣いておったぞ。
 そおれから、マガリの小さいころからの親友イザベル(マリー・リビエール)は、まさに高校生のノリで、「出会い系」でマガリの男を探してきてやるのだよ。それにひっかかってきたのがジェラルド(アラン・リボル)
 イザベルの娘の結婚パーティーに、これらの面子が一同に集まって、さてさて。。。このパーティーでのマガリ、そして二人の男の心の揺れが、微妙なタッチで描かれてんだよね。ほんとさらっとしてる。無論、もろ思っくそフランス映画なので、あふれるくらいに会話主体でひっぱってくんだけど、妙にさわやか。その結末もさらっとまとめられていて。うん、そうだな、ロメール爺ちゃんから見れば、この年齢層ってのもまだまだお子ちゃまってところなんでしょ。

Conte D'automne
監督・脚本 エリック・ロメール
撮影 ディアーヌ・バラティエ
音楽 クロード・マルティ
出演 マリー・リビエール / ベアトリス・ロマン / アラン・リボル / ディディエ・サンドル / アレクシア・ポルタル / ステファーヌ・ダルモン / オーレリア・アルカイス
★★★★




2002年06月30日(日)
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