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■ ▼ サマンサ・ラング『女と女と井戸の中』 (1997 豪)
『女と女と井戸の中』なんて思わせぶりなタイトルのわりにはぴしっとこない。原題はただの『井戸(The Well)』 確かに「女と女と」いう邦題は、はまってはいるんだけれど。 女と女の確執、それがありきたりに一人の男をめぐってというものでもない。それならわかりやすいんだけれど、じゃいったいどんな確執なんだというと、いまいちよくわからない。それぞれが守らなければならないというのも、望むものというのも、いまいちよくわからない。望むものがヨーロッパ旅行だったでは次元が低すぎるでしょ。そんなものじゃないはずなのに。 サマンサ・ラング自身のメッセージに「この映画の持つもうひとつの主題は、女性の性です。」 だけれど、これも何だかなぁ、ぐっと訴えかけてくるものがないなぁ。思うに、はなからこの女と女の間に関係なんてものは存在しなかった、しえなかった。相容れないのでなくて、何らの接点も存在しなかったんじゃないのか、ただ道ですれちがっただけの女と女をひとつの器に入れてひっかきましたところで、何も見えてこない。そのことはラストの種明かしのような結末でより明らかにしてしまったという気がしないでもない。 テーマとしてすごくおもしろいし、オーストラリア(だよね?)の茫漠とした大地の風景もすごくいい。ちょっとヴェンダースの『パリ,テキサス』なんかも思いだしたんだけれど、『パリ,テキサス』の思いきりコントラストを強調させた大地と空に対して、逆にコントラストを抑えて、どこかマスクされたようなその茫漠な風景の映像で、たぶん二人の女の内面を象徴させたかったんだと思う。そして極力セリフをひかえて、映像で内面を描き出そうという試みもわかる。それらはそれでいいんだけれど、はてそれがぴしっと伝わってこないというのは何がどうなんでしょね。ばっさり切ってしまうのいは忍びなくてね(苦笑) ちょっと欲求不満おこしそうな映画でした。
このシーンにはハッとした。二人の目がいいの。
The Well 製作 サンドラ・レビ 監督 サマンサ・ラング 脚本 ローラ・ジョーンズ 原作 エリザベス・ジョリー 撮影 マンディ・ウォーカー 音楽 スティーブン・レイ 出演 パメラ・レイブ / ミランダ・オットー / ポール・チャブ
★★★
2002年07月13日(土)
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