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■ ▼ ニック・カサベテス『シーズ・ソー・ラブリー』 (1997 米, 仏)
ぎんぎんに七光りを浴びて、父ちゃん=ジョンの遺産の脚本で、またしてもスポットライト浴びちゃってからに。その反面で、ジョンならこうしただろうにねぇなどと喧しく言われる。もう死んじゃったんだから、どうした、こうしたもないのにねぇ。確かにジョンならこうしただろうに、とは思うよ。でも若くてというか、ジョンだったらこんなふうにできなかったんだろうなとも思える。どっちにしろ、カエルの子はカエル
話のネタとしてはむちゃくちゃに重いよ。10年も前に別れた男との再会。なんて書いても、なんで重いねん?と思われるけれど、とにかく重いのっ。その10年という歳月は人をいろいろ変えもするし、その時の流れに逆らって変わらないモノもある。これ以上書かないけど、その重さを重っ苦しく感じさせないのがいいねぇ。 まずはジョーイ(トラボルタ)が狂言回しに徹しきってること。トラボルタファンには、そりゃないよねぇってくらい惨め役回り。あまりのお気の毒さに、トラボルタが渡辺正行に見えましたって言い過ぎかい。そして太郎冠者=エディにショーン・ペン、花子冠者(笑)=モーリーンにロビン・ライト・ペン、なんと現実の夫婦で演じてるわけで、この二人、ひょっとしたら現実にもこんなふうにぶち切れてんじゃなかろか。 上で狂言なんて書いたけれど、これほんとに狂言だよね。「なんでやねんな?」の連続で、たとえば精神病院の金網のすき間でモーリーンとエディがキスするシーンね、その金網のすき間からにょっとショーン・ペンの鼻が突き出てるのがアップになるなんてのは笑ってしまった。あそこは絶対に笑えるシーンじゃないよね。でも笑ってしまうよ。9歳の娘の言動にしても、をいをいモンで、ビールぐびっと飲むわ、あそこでビールぐびっはないだろ。しかもトラボルタが「ママには内緒だぞ」なんてけったいなことだらけ。けったいと言えば、ショーティーのハリー・ディーン・スタントン。このおっちゃんがむっちゃくちゃにいい。演っていておもろくてたまらん役回りなんだね。 よくよく考えてみれば話の展開だって、??@?!!?!?、そんな矛盾だらけというか、まさに常軌を逸した行動だらけであるに関わらず、きしっとまとまって、どこかで、男と女とは? 家族とは?なんて重いテーマがしっかり敷き詰められてる。 息子ニックが親父ジョンの脚本を監督してしまったというより、ジョン・カサベテス・リスペクトって連中が集まってわいわいがやがや作りあげた映画。ショーン・ペンがずっと温めていて、息子ニックをかつぎだしたってね。しっかり母ちゃんもちょこっと出てくるし。
She's So Lovely 製作 ベルナール・ブイ / ショーン・ペン / ジョン・トラボルタ / ルネ・クレイマン 監督 ニック・カサベテス 脚本 ジョン・カサベテス 撮影 ティエリー・アルボガスト 音楽 ジョセフ・ヴィタレリ 出演 ショーン・ペン / ジョン・トラボルタ / ロビン・ライト・ペン / ハリー・ディーン・スタントン / デビ・メイザー / ジェームズ・ガンドルフィーニ / ジーナ・ローランズ
★★★★
2002年07月16日(火)
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