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 ▼ アンドレ・テシネ『野性の葦』 (1994 仏)



 この映画は1994年の作だと思ってみるとかなりとまどってしまう。
 時代の設定はアルジェリアの独立戦争当時のことだから1960年代初頭。道理でデルシャノンやらプラターズやビーチボーイズってわけだ。だからってわけでもないのだけれど、限りなくアメリカ映画に近いフランス映画。それもその当時に作られたアメリカの青春映画そのもの。だから妙なとまどいを覚えながらほっとしてしまった。フランス映画、アンドレ・テシネ監督だし、アルジェリア独立戦争とか言い出すと、ちょっと身構えてしまってた。『野性の葦』なんてタイトルにしたってなんか難解そう。
 1943年生れのテシネ監督だから、ちょうどこの映画の時代に、まさに青春群像と呼んでもいい人物たちの年代だったわけで、自分自身の青春を彼らにオーバーラップさせてるんだね。というか自伝映画のようです。そしてかつて監督自身が見ただろうアメリカ青春映画やトリュフォーなどへのオマージュと言ってもいいんじゃないだろか。ちょっとざらついた映像が余計にそのテイストを出してるね。
 フランソワ(ガエル・モレル)を中心に、ガール・フレンドのマイテ(エロディ・ブシェーズ)、ホモだちのセルジュ(ステファーヌ・リドー)、アルジェリア出身の極右テロ組織の信奉者アンリ(フレデリック・ゴルニー)、それぞれがすごく丁寧に描かれているだけでなく、脇のマイテの母親や、学校のアンリを個人的に指導する教師までも、この2時間弱の映画の中で丁寧に描かれてるのはすごいな。
 アンリの手がマイテの手にそっと触れていったときにすっとマイテが手を引いてしまう、あのいじいじ感がほんとたまらない。青い〜! そしてラストの展開は予定調和でしかないけれど、この予定調和が変に瑞々しい。うん、みんなで水浴びするんだから瑞々しくて当たり前か。そうほんと清涼感があるのね。ただ、さすがゲイ先進国のフランスの話だけあって、ゲイカルチャー以前のホモだちというあたりが、ゲイ後進国から見るとわかりづらいんだけれど、まぁよしとしよう。
 あ、そだそだ、いじいじしまくりのノンエロティック青春映画だけれど、ラストにはエロディ・ブーシェが。。。。見かけよりずっと大きいのね。その分だけで☆つけとこ

Les Roseaux Sauvages
製作 アラン・サルド / ジョルジュ・ベナユン
監督 アンドレ・テシネ
脚本 アンドレ・テシネ / ジル・トーラン / オリビエ・マサール
撮影 ジャンヌ・ラポワール
出演 エロディ・ブーシェ / ゲール・モレル / ステファーヌ・リドー / フレデリック・ゴルニー / ミシェール・モレッティ / ジャック・ノロ
★★★★☆



2002年07月18日(木)
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