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 ▼ エリック・ロメール『木と市長と文化会館 または七つの偶然』 (1992 仏)


 これは見方を間違えた。体調がだぁだぁに疲れきってるところに、ロメールの特徴のセリフの洪水をまともに追いかけてしまったもんだから、んんー何、フランス社会党がどうしたんだよぉー、おまけに終盤にさしかかったあたりから周りでがちゃがちゃ騒いでくれるし、さっぱり落ち着いて見れなかった。ああ、失敗、失敗
 でも、ええ〜っ、ロメールときたら恋愛映画ちゃうんかいと、ひどく戸惑ってしまったよ。環境と開発という1990年代になってやっと問い直され始めた問題を真っ向に扱ってる、なんて書くとひどくお堅い映画で退屈極まりない映画なんだけれど、それは日本で作ったらの話、というか、そういう映画とかはちょっとしか見てないんだけどね、それもお義理でちらっと見ただけで退屈だった、そこはロメールなのか、「偶然」の日常をさりげなく積み重ねていくことで話を成り立たせてしまってる。(日常なんて偶然の積み重ねにすぎない!)
 どこの国でも同じように、その後先なんか考えずに市長(パスカル・グレゴリー)というのはハコモノをつくりたがる。そりゃ見た目に派手だからね。まぁ話は当然といえば当然のごとく環境派側よりにつくれrているからね、市長の友達ベレニス(アリエル・ドンバール)のようなパリジェンヌからみると、なんで田舎に文化会館などのような都会でも得られるようなものが必要かと迫られるし、小学校の教師(ファブリス・ルキーニ)には真っ向から反対される。しかしこのエコロジー教師の反対というのは、これもどこかヒステリックで、ちっと皮肉ってますなぁ。そのルキーニが草原を前にヒステリックに喚き立てている隅で冷静な目があることに注意。ここでもその存在が全く違和感がないんだね。それが最後に大ナタ振るってしまうんだから。揚げ句に取材にきた雑誌記者(クレマンティーヌ・アムルー)にはその記事で自分の主張はほとんどとりあげられず、という具合。
 こういうふうに市長をめぐって話をつくりあげ、すべて場がととなったところに、大役者の登場。その大役者=ギャラクシー・バルブット、小学校教師の娘ゾエ、この子がうまい、うまい。市長の娘と子ども二人の絡みなんてオトナが逃げ出すくらい。ごくごく日常的で違和感=オトナがやらせているという感じがないんだね。実際にはオトナ=ロメールがやらせてるんだけど、そこここにある子ども中心の映画みたいな嫌みがない。
 体調がどうとかとか、なんだかんだって言いながら、見てる?でも話の成り立ちより、ひとつひとつの絵がおもろかったなあと思う。ありきたりな絵なんだけれど、はっとさせられて。だから疲れてたので、ぼーっと見てりゃいいものを、必要以上に話の成り立ちというのを追いかけて、逆につまらなく見てしまったなぁという感じが残ってしまった。
 7番目の偶然「あいかわらず役所がぐうたらだったら」なんてのもぴりっとロメールの風刺が効いてるね。役人なんてぐうたら以外のなにものでもないです。

L'arbre Le Maire Et La Mediatheque Ou Les Sept Hasards
製作 フランソワーズ・エチェガレー
監督・脚本 エリック・ロメール
撮影 ディアーヌ・バラティエ
音楽 セバスチャン・エルムス
出演 パスカル・グレゴリー / アリエル・ドンバール / ファブリス・ルキーニ / クレマンティーヌ・アムルー / ギャラクシー・バルブット / ミシェル・ジャウワン
★★★★



2002年07月27日(土)
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