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 ▼ イングマール・ベルイマン『不良少女モニカ』 (1952 スウェーデン)


 父親を若いうちに亡くしたボンボン=ハリー(ラーシュ・エクボルイ)が、不良少女=モニカ(ハリエット・アンデルソン)を見初めて、ひと夏の恋。当然の帰結として、妊娠。不良らしからずいちおう出産することはするけど、けどなんですねぇ、
 ストーリーなんかは、今の時代から見ると、あんまりおもしろくない。ここで妙に、「母親とは..」なんて道徳ぶっても仕方ない、ますますつまらなくなる。第一、ベルイマン自身、そんなことは全然描いてるわけじゃない。母親となっても子育てをしようとしない。旦那となったハリーの出張中に男をひっぱりこむ。揚げ句に、旦那も子どももおっぽらかして飛びだしていく。そりゃ、世間一般的には否定されてしかるべき女だろうけれど、こんな女はいかん!などとこれっぽっちも言うてないですねぇ。むしろモニカという「不良少女」を、良くも悪くもすごく魅力的に写しだしている。
 ハリーの父親のボートで二人して家を飛びだした初めての朝、ハリーより先に起きだして、キャンプ道具で朝食の用意をしているモニカのなんと初々しいというか、おもっきり可愛い。このボートでの逃避行は、先が見えてしまっているから、刹那的だからこそせつない。これでもかこれでもかとばかり写しだしてくるでしょ。ちょっとボク自身の体験(知ってる人は知ってるだろうけど)にオーバーラップさせてしまったよ。明るい自然の中ではじめて抱き合うところ(上のVHSパッケージの写真のシーン)だとか、ほんと胸キュン。そんなラブラブなシーンで胸キュンになるなんて女じゃないか、なんて思うだろうけれど、このモニカの目を見てたら当然のような気がする。むしろ男でなかったら胸キュンになんかならないだろ。ハリエット・アンデルソンは美人でもなんでもないし、カッコいいわけでもないけれど、良い子良い子の女より、「不良少女」に惹かれてしまうものなんさ。別荘に食糧泥棒に入ったときの猫のような目ね。そして50年前の映画でしょ、ハダカなんてとても期待なんかしてなかったけど、あーーっとサービス(?) いや、そうでなくても、ってどうでなくてもなんだ?ン? いや、後ろからだけだけどね全裸、それからちょっと離れてるけれど、おっぱいも見えて.....ああああ、そうじゃなくて、ブラジャー外してね、そしたらそれだけでドキドキしてしまう。あー、これってね、スケベ心から沸き起こってくるわけでなくて、ハリー自身が最後に鏡に向かって回想してしまうんだから、終わってしまえばせつないんだって。そうそう誰もいない波止で二人で踊るシーンもいいねぇ。
 ストックホルムというのはフィヨルドにうがたれた街なんだと思った。いくつもの橋の下をくぐって船で出ていく。そしていくつもの橋の下をくぐって街に戻ってくる。

Sommaren med Monika
監督・脚本 イングマール・ベルイマン
原作 ペール・アンデシュ・フーゲルストルム
撮影 グンナール・フィッシャー
音楽 エリック・ノードグレン
出演 ラーシュ・エクボルイ / ハリエット・アンデルソン / オーケ・グリュンベルイ / ベント・エクルンド
★★★★



2002年07月28日(日)
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