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 ▼ カルロス・サウラ『恋は魔術師』(1986 スペイン)


 ついこないだ『血の婚礼』を図書館で借りれてよろこんでたら、いきなりこの『恋は魔術師』と『血の婚礼』BSでやってんだもん。同じなら『カルメン』やってくれりゃいいのに・・・・身勝手。。。。
 『血の婚礼』でも書いたように、『血の婚礼』('81)、『カルメン』('83)、そして『恋は魔術師』('86)は、カルロス・サウラがアントニオ・ガデスと組んだフラメンコ三部作。
 いろいろ調べていると、この3作はフラメンコの教則本的な扱いまで受けているようで、をーをーフラメンコというのはこんなんなのだぁと改めて感動させてくれる。どうもボクらの頭の中にはカルメンが赤い薔薇をくわえて、オーレッ!というイメージが沈着してしまっているからね。いちおう、グラナダのロマの集落にある観光用のフラメンコは見たことあるんだけど。
 人が集まると、そこには自然発生的にフラメンコがあるという感覚にさせてくれる。スペイン人ではなくて、スペインのロマ(かつてジプシーと呼ばれてた)が集まると、のほうが正確かもしれない。そしてまたこの『恋は魔術師』全体がフラメンコ・ミュージカル仕立てにでき上がっているから、ロマが二人よるとフラメンコがある、というのは間違いかもしれないけれど、この『恋は魔術師』を見ていると、ごく自然にフラメンコに入っていく。やっぱりカルメンという先入観があって困りものなんだけど、ここでフラメンコというのは、フラメンコ・ギター一本、いやハンド・クラップそれだけでも成り立ってしまう。踊りがなくとも民衆の表現としてフラメンコがあるんだというのが伝わってくる。そうそう、民衆の表現といえば、民衆だからね、かなり下ネタっぽかったりする。小鳥ですか、亀じゃなくて。。。
 フラメンコそのものを見せるというのが大前提としてある中で、この『恋は魔術師』では、ロマの集落のセットそのものをひとつのステージとして、そのステージ上で演じられるフラメンコという形の映画として示される。そのセットが作られているスタジオのシャッターが静かに閉まっていくシーンから始まる、さ、ここからこの空間の内側で始まるでといわんばかり。
 少年時代のホセ(ファン・アントニオ・ヒメネス)とカンデラ(クリスティーナ・オヨス)が親たちによって将来の結婚を言い渡される。それを秘かにカンデラに思いをよせていたカルメロ(アントニオ・ガデス)の顔がアップになって、タイトルが流れるとともに少年時代のカルメロから青年のカルメロ(アントニオ・ガデス)にモーフィングされる。いきなりの飛び道具かい、と思っていたら、あとはごくストレート。モーフィングで時は流れて二人の結婚式。ロマの集落をあげてのお祭り騒ぎ。といっても、そこはばっちりフラメンコ! 頭に真っ赤な花を挿して踊る婆ちゃんの顔がむちゃくちゃにいいのだ。
 さてと、ホセには愛人ルシア(ラウラ・デル・ソル) がおって、ボク的には絶対こっち。だって絶対こっちのほうが可愛いもん。クリスティーナ・オヨス貫録ありすぎでしょ。ボクがホセでもカンデラからルシアに色目を使ってしまう...をいをい。
 話の筋、書こうかと思ったけどやめとく。筋としてはごくごく単純よ。カンデラをめぐって、亡霊ホセと一途男カルメロの男の戦い。あんたにゃ、こんな可愛い愛人がおるんだから、カンデラはおとなしくボクに下さいってか(^^;)
 アントニオ・ガデスとクリスティーナ・オヨス、この二人の踊りはもちろんなんだけど、それより集団の踊りが絶対の見もの。洗濯干場での女たちの踊りもいいけれど、亡霊祓いの「火祭りの踊り」これは絶対、絶対、必見!

Bodas de Sangre
製作 エミリアーノ・ピエドラ
監督 カルロス・サウラ
脚本 カルロス・サウラ / アントニオ・ガデス
撮影 デオ・エスカミーリャ
音楽 マヌエル・デ・ファリャ
出演 アントニオ・ガデス / クリスティーナ・オヨス / ファン・アントニオ・ヒメネス / ラウラ・デル・ソル
★★★★★


2002年07月29日(月)
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