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 ▼ オーソン・ウェルズ『オセロ』 (1952 米,仏,伊,モロッコ)


 原作が原作なだけにそこにどうのこうの異論をさしはさむ余地なんてのはなくて、さてその原作をどう料理するかにかかってる。だいたい原作があまりに有名で、それを映画に持ち込んだとき、まずおもしろかったなという験しはないのだけど、この『オセロ』はすごいよ。のっけから頭をがつーんと殴られたような、わぁやられたぁ〜と、ボクがやられたぁというのも変なんだけどね。
 まずはあえてモノクロであるいうことが勝利(そらオセロなんだから白と黒で決まり、なんてしょうむないこと言うなよ)。1952年だからまだモノクロの時代ではあったにせよ、モノクロの持つ深みをここまで引きだされるとは、やっぱりオーソン・ウェルズって天才なんだと。とくに黒の使いようがね、影として、またシルエットとして抜群に効果的だし、逆に海や空のギラギラした光によって、それを背景としたときの人間が際立つ。なんかね、ボクがこうして言葉で言い表すより、実際に見たほうが絶対だ。
 時代設定は忠実に中世で、しっかり衣装や美術も時代考証というのが完璧になされてるはずだけれど、それが不思議と中世という時代を感じさせない。そのひとつにあまりにデフォルメされた美術、それと大胆な遠近法の映像、そんなんが時代を超越してしまっている。かなり忠実にシェ−クスピアの元の台詞が採り入れられていることといい、シェークスピアの普遍性があってこそなんだが。
 ま、とにかく見て!としか言いようがないです。

The Tragedy of Othello: The Moor of Venice
製作・監督・脚本 オーソン・ウェルズ
撮影 アンチィーゼ・ブリッツィ / G・R・アルド / ジョージ・ファント
美術 アレクサンドル・トローネル
音楽 フランチェスコ・ラバニーノ / アルベルト・バルベリス
出演 オーソン・ウェルズ / マイケル・マクラマー / ロバート・クート / シュザンヌ・クルーティエ / フェイ・コンプトン / ドリス・ダウリング
★★★★★



2002年08月03日(土)
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