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■ ▼ ジャン・ピエール・ジュネ『アメリ』 (2001 仏)
おもしろかった。小じゃれてた。 映画館で『アメリ』の予告編見たときから、おもろそうで映画館に観に行きたいなとは思ったけれど、単館上映にしては異常に話題になってたし、アメリなりきり女の子が多そうで、おじさんには映画館は遠く思えてしまう。だからビデオなんだけど、さてさて実際にビデオで見てみると、いわゆる現在の単館系映画館の居心地の悪さを感じてしまったよ。 ストーリー的には、親の教育方針からひきこもり少女アメリがひょんなことからひきこもりから抜け出して恋におちる、というファンタジーなんでしょうけれど、そういう大筋から眺めてみると、何だ?こりゃとなってしまう。 ボク的にはおもしろいなと思えたのは、家の中で前の住人が残していった玩具の入った缶を見つけ、それを元の持ち主に返す、要するにアメリがそれをきっかけにして、ひきこもり空想少女から抜け出すまでの話で、そのあとはだらだらと退屈だった。実際に寝転がって見てたら寝てしもたしね(苦笑) ボクが退屈しだした中盤からラストにかけて、ひとつひとつの話はおもしろいんだよ。例えば、食料品店の店主(ウルバン・カンセリエ)に天誅をくれてやる話とかね、それだけ見ればほんとバカ臭くてすごくおもしろい。だけど映画全体の枠に収めてみると何だかわけがわからない。必然性を感じない。そんな必然性を感じない挿話がうんざりするくらい出てくる。ん?何だ、これは群像劇なのかと思ってしまうくらい。アメリの父(リュフュス)のドワーフの話にしたって何だかなぁ、タネはわかってんだけれど、ドワーフがアンコールワットにまで行ってというのなら夢がある、ファンタジーとして存在もするだろうけれど、結局、観る側に夢を抱かせるだけ抱かせてがっかりさせるだけ。それとウザくて仕方なかったのは、ひきこもりのエキスパートじいさん(セルジュ・メルラン)、彼がアメリを導いて行くことになってんのがどうにもこうにも。ビデオカメラで時計を映しだして時間を知るなんて、なんでこんなくっだらねぇアイデアが通るのか不思議。 ニノがポルノショップの店員だったという設定のセンスの悪さったら無いよ。全体を通して○と×の並列がされているけれど、ニノという憧れの男にポルノショップ店員という並列はいけてない。ニノ(マチュー・カソヴィッツ)をアメリがモンマルトルで誘導する話にしてもしつこすぎ。 アイデアをぎゅうぎゅうに詰め込みすぎだね。もっと選択すればいいのに、あれもこれもつめこんで、そしてその落差が激しすぎる。 クリスマスのブーツを思いだすよ。開けてみるまではすごく楽しくて夢いっぱいなのに、売れ残りのお菓子ばっかりぎゅうぎゅうに詰め込んであるだけで、それでも子供心にはうれしくて仕方がない。だけどいざ口にしてみると不味くてすぐに吐きだしてしまう。そして空になったはりぼてのブーツはそこらにころがってゴミになってしまう。そんな淋しさを感じてしまったよ。 アメリ(オドレイ・トトゥ)のアップになるシーンが、何度もあったけれど、それらの絵は好きだな。
Le fabuleux destin d'Amlie Poulain 製作 ジャン・マルク・デシャン / クローディ・オサール 監督 ジャン・ピエール・ジュネ 脚本 ジャン・ピエール・ジュネ / ギョーム・ローラン 撮影 ブルーノ・デルブネル 美術 ウォルカー・シェイファー 音楽 ヤン・ティルセン 衣装 マデリーン・フォンテーン / エマ・ルベイル 特撮 イヴ・ドマンジュー 出演 オードリー・トートゥー / マチュー・カソビッツ / ドミニク・ピノン / ヨランド・モロー / ジャメル・ドゥブーズ / イザベル・ナンティ
★★★
2002年08月18日(日)
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