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 ▼ ミカ・カウリスマキ『GO! GO! L.A. 』(1998 英,フィンランド,仏)


 まずは何なんですか、この邦題、ほんとセンスの無さにはあきれ返るばかり。わざとそれをねらったというのならわからんでもないけれど...
 さて、ミカ・カウリスマキは、いまボクがはまってるアキ・カウリスマキの兄貴のほうですね。だからルーツ的には同じ、なもんで、ヨーロッパから、しかも影のヨーロッパからアメリカの日向ハリウッドに殴り込みをかけたというシロモノ。ほら、しっかりレニングラード・カウボーイも友情出演(笑)しとるでしょ。あのダサダサでハリウッドに殴り込もうってんだからその心意気に拍手。前にも書いたけど、このカウボーイ連中、生でみたことあるけどほんとダサい、あまりのダサさにのけぞったのだったよ。
 ところでヴィンセント・ギャロのアナウンスがでかすぎんだよ。ギャロの話かと思ってみたらこけてしまう。同じようにジュリー・デルビーの映画でもなくて、デビッド・テナント、その次にビネッサ・ショーの映画なわけで、ギャロはあくまでもバイ・プレーヤーに徹してる。どこか、バイ・プレーヤーとしての原田芳男っぽくないか。存在感がありすぎて、カッコよすぎて、メインを食うてしまう。同じことがジュリーにも言えて、ジュリーとビネッサ・ショーを比べたら、どうしたってジュリーでしょ。そこでじゅりーのほうは元来のジュリーを崩そうとしてるんだけれど無理がありすぎ。ジュリーが「やりまくるのよぉ」ってセリフをはいたところでなんか虚しい。この二人よりジョニー・デップがいいや。
 だからって、デビッド・テナントとビネッサ・ショーが良くないかといえばそうでなくて、この二人がきっちりクササをふりまいてくれる。だからって「おら、東京さ行ぐだ」と吉幾三のような上昇志向でもなくて、寺山修司のようななんていうと褒めすぎか、単なるネイティブがたまたま青森に遊びに来ていた東京のキャンギャルに惚れ込んで、いきなり六本木をわけわからずうろついているといったところ。原題の『L.A. Without a Map』というのはとてもよくわかる。だって東京も地図なしに歩けたもんじゃないでしょ。そういう町、L.A.なかんずくハリウッドの表層性、虚構性をリアルに描いているのはさすがとしかいいようがない。ギャロとジュリーはその町のジョーカーとしてあるはずだったのに、宣伝がいけないんだね。結局、制作側でなくプロモートサイドで、その表層性にまんまとはまって、いわばミイラ盗りがミイラになったような。ギャロはギャロでいいんだけど、「映画監督、俳優、ファッションモデル、フォトグラファー、ミュージシャンとイカした肩書きをいくつももち、世紀末アメリカのサブ・カルチャー・シーンを疾走する男、ヴィンセント・ギャロ」(オフィシャル・ページ)以外にもってきたほうがもっと楽しめたかもしれない。
 

L.A. Without a Map
製作 ジュリー・ベインズ / サラ・ダニエル
監督 ミカ・カウリスマキ
脚本 ミカ・カウリスマキ / リチャード・レイナー
原作 リチャード・レイナー
撮影 ミシェル・アマチュー
音楽 セバスチャン・コルテラ
出演 デビッド・テナント / ビネッサ・ショー / ヴィンセント・ギャロ / ジュリー・デルピー / ジェームズ・ルグロス / キャメロン・バンクロフト / サスキア・リーブス / ジョニー・デップ / アヌーク・エーメ / アマンダ・プラマー / レニングラード・カウボーイズ
★★★★



2002年09月04日(水)
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