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 ▼ セドリック・クラピッシュ『猫が行方不明』 (1996 仏)


 猫が行方不明、婆ちゃんも行方不明、誰も彼もが行方不明、町そのものも行方不明。ところがその肝心の行方不明になったはずの猫(グリグリ)はなんとレンジのかげに隠れていた。と、これはまるでチルチルミチルじゃないのかと言ってしまえば、はい、それまでよで、俄然つまらなくなる。だからそんなことは言わないのって、もう言うてしもてるじゃないですか(^_^;アハハ…
 そんなことよりか、出てくる人間たちの人間模様というたらいいのか、それがすごくおもしろい。何度も、うんうんと頷かされること。
 例えば、預かっていた猫がいなくなったと、マダム・ルネが彼女の電話ネットワークを通して婆ちゃんたちに呼びかけて出てくる、出てくる、婆ちゃんたち。思わず、別府の浜田温泉の婆ちゃんたちを思いだしてしまったよ。この婆ちゃんたちの電話ネットワークですごく象徴的なことがある。ほれ、病院の待合室で「この頃、山田さんのおばあちゃん、来やりまへんなぁ、どっか具合が悪いのかしらん」の類ね。それでこの映画のいいところはそういうエピソードをやたらとひっぱらないこと。ふっとさりげなく切り取って見せてくれる。これってセンスいいんだよなぁ。この婆ちゃんのお頭、マダム・ルネ(ルネ・ル・カルム)、この婆ちゃん、78歳にしてこの映画がデビューだってね、ん?ということはこれが最初で最後の、素人のようなもの。ところがどうしてどうして。他にぞろぞろ出てくる婆ちゃんもみんな素人だってさ。
 男連中もかなりの部分、素人さんらしいよ。ヒロインのクロエを演ってるギャランス・クラベルにしたって、これがデビュー作だっていうし、なんかみんな地で演ってんのかい。ジャメール(ジヌディーヌ・スアレム)ね、恋愛対象にしてもらえない男って。。。。おるねぇ(^◇^;) 一人、夜の街を「グリグリ、グリグリ」とさがして歩いているジャメールに愛の手を!
 町の人だけでなく、町そのものの切り取り方もいいねぇ。 町の描き方もさらっと描いてくどさがない。クラピッシュにはまだまだ出してこれるものがあるんだぞって、全部手駒を見せないと気が済まないようなのとは大違い。ちゃんとトマソン映ってたし(笑)、思わずきのう歩いた尼崎を重ねて見てしまっていたよ。

 男にしろ女にしろベッドでの他人からの電話は厳禁だぞ! ところでうちにはマダム・ルネの家よりもようさん猫がおります。へたな女(男)と寝るよりか、猫と寝てるほうがなんぼ気持ちいいか。そしてきょうまた1匹うちの家に猫がやってきました。グリグリとは正反対の白猫。ぼくはその猫にグリグリと名付けたいんだけどなぁ。

Chacun cherche son chat
監督・脚本 セドリック・クラピッシュ
撮影 ブノワ・ドゥロム
美術 ランソワ・エマニ
出演 ギャランス・クラベル / オリビエ・ピイ / ジヌディーヌ・スアレム / ルネ・ル・カルム
★★★★☆



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2002年09月30日(月)
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