|
|
■■■
■■
■ ▼ ジャン・リュック・ゴダール『ワン・プラス・ワン』 (1968 英)
ゴダールのレビュなんてほんとは書きたくない。 というのは、何がなんやらわからんから(苦笑) それにヘタなこと書いたら、どっかで嗤われそうだしなぁ。そうなると、まごちゃんの美意識が許さない。 さてと、ごたくはおいといて、ボクは『Beggars Banquet』がストーンズのベストだといまでも思っている。で、そのことについてはこっちを見て下さい。とにかくこれは出てすぐになけなしの金をはたいて買いました、当時の高校生にとってLP1枚2000ナンボというのはとほうもなく高い買物だったのです。その『Beggars Banquet』の1発目が『Sympathy for the Devil』…のけぞりました。 そしてこのゴダールの『ワン・プラス・ワン』はこの『Sympathy for the Devil』が、初めにガシャガシャとミックとキースが作り初めていくところから完成にいたるまでをドキュメントしたもの。ブライアン・ジョーンズ、生きてますねぇ。をー、ニッキー・ホプキンス生きてますねぇ。この二人の生身が見られるというだけで、ボクはもうご満悦。 映画が作られた1968年というのはフランスでは五月革命のまっただ中。ベトナムじゃアメリカがベトコンにやられはじめ、中国は文化大革命、そして日本じゃ大学紛争。69年の東大入試は安田砦の攻防でなくなった、こうして並べてみるとすごい時代だなぁ。そういう時代背景を頭においておきましょう。一方、ゴダールにおいては『中国女』(67)、『東風』(69) その間にはさまれてあるのが『ワン・プラス・ワン』 ね、こうして見ると見えてくるでしょ。 ポルノショップでヒットラーの『わが闘争』を朗読するわ、廃材処理場でブラック・パンサーをモデルにしたような武闘訓練がなされている、その横で『ブルースの魂』が朗読されるわ、またその一方で森の中での奇怪なインタビューの撮影・・・・これらのことばの洪水、まさにゴダール独特の文法なんだけれど、それに足許をすくわれながらも妙な緊張感が包み込んでくる。そんな映像と『Sympathy for the Devil』をどんぴしゃぶつけてしまったゴダールの時代を見抜く目、というのはすごすぎる。 見ていてどうにもこうにも途方に暮れてしまうのだけれど、何日か経つとじんわりと効いてくる。かなりヤバイのだ。わけがわからないというのはなんて気持ちがいいんだろう。ぞくぞくしてしまう。
One Plus One 監督・脚本 ジャン・リュック・ゴダール 撮影 アンソニー・B・リッチモンド 音楽 アーサー・ブラッドバーン / デリック・ボール 出演 ザ・ローリング・ストーンズ / アンヌ・ビアゼムスキー / イアン・クワリア / ダニー・ダニエルズ
★★★★☆
2002年10月01日(火)
|
|
|