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 ▼ デビッド・リンチ / ジェームズ・シニョレッリ『ホテル・ルーム』(1992 米)


 アメリカのTV番組用に製作されたもので、『ツインピークス』のように劇場用には製作されていないし公開もされていない。
 『トリック』、『ロバートにさよなら』、『ブラックアウト(停電)』の短編3本からだけど、2本目の『ロバートに〜』だけがタッチが違うと思ったら、これだけはリンチじゃなくて、ジェームズ・シニョレッリが監督。こんな監督、聞いたことないぞ、と調べてみたら、な、なんと、かの『スーパーフライ』(ゴードン・バークス Jr.監督というより、カーティス・メイフィールド音楽)で撮影やってた! あと『ファントム・オブ・パラダイス』に関わっていたりして、となると結構カルトな道を歩いてきたのか。まぁどうでもいいか。
 おもしろいのはこの3話とも、NYCのとあるホテルの同じ603号室で起こる物語で、時が1969、1992,1936年と順に変わっていくこと。基本的なその603号室の作りは変わらないまでも、微妙に調度やインテリアが変わっていること。もうひとつおもしろいのは、部屋に案内してくるボーイがこの3つで変わっていない。周りは変わっているというのに、このボーイだけは年もとらないのだ! あとメイドが1,2話でボーイと同じように年も変わらずに出てくる。3話目でも期待してたのにメイドの出る幕なし。それでただこの部屋の中だけで3話とも完結してしまう。それだけでしっかり100分ほどの時間をもたせることができるのだ! ボクはこのことがすごいなと思うよ。
 1つめの『トリック』が話としては一番おもしろかった。ルー(ハリー・ディーン・スタントン)が、女(グレン・ヘドリー)を買ってホテルにしけこんで、さぁこれからという段になって、唐突にクソ爺モー(フレディ・ジョーンズ)が現れて、その女を勝手に頂戴するわ、犯罪をなすりつけてドロンするわ、いかれこれ。ところがこの脈絡のない唐突さ、アホくささがたまらなくいい。
 2つめの『ロバートに〜』は痴話喧嘩。女3人が男の噂をしているところなんかは、アメリカのホームドラマの怖い版。ところが妙にさらっとしてんのは、リンチじゃないからか。
 3つめ『ブラックアウト』はろうそくのあかりの中で、リンチらしいローテンションの心象風景が続く。だからといって、ホテルの603号室から飛びだしていくのでなくて、あくまで部屋の中で、しかもクリスピン・グローヴァーとアリス・ワィット2人っきりで収めきってしまうところがすごい。


Hotel Room
監督 デビッド・リンチ / ジェームズ・シニョレッリ
製作 デビッド・リンチ / モンティ・モンゴメリー
脚本 バリー・ギフォード / ピーター・デミリンダ
音楽 アンジェロ・バダラメンティ
出演 ハリー・ディーン・スタントン / グリフィン・ダン / フレディ・ジョーンズ / デボラ・アンガー / クリスピン・グローヴァー
★★★★



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2002年10月19日(土)
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