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■ ▼ ビガス・ルナ『裸のマハ』 (1999 スペイン, 仏)
まず最初に言っておくと、こんなものゴヤの絵に心酔してるものが見たら怒り狂うだろうな。ボク自身はプラドーで上下2段に並べられたホンモノのマハを見てるんだけれど、この映画、見てるうちにどんどんどんどんどんむかついてきたのだよ。そんなにゴヤを見てるわけでもないし、ゴヤに関して勉強してるわけでもないけれど、映画に限らず、真相暴露モノというのはほんとにつまらないね。 カイエターナ=アルバ公爵夫人(アイタナ・サンチェス=ギヨン)毒殺事件をめぐってスペイン王室、さらにゴヤ(ホルヘ・ペルゴリア)、「裸のマハ」製作の真相を暴いていくというのだが、それを何をトチ狂ったか、ミステリー仕立てにし、時系列を逆転させて、毒殺の謎解きをしていくなんて、なんとまぁくだらない。そうでないと見せられないようなテーマかね。カイエターナ、王妃マリア・ルイーサ、それに真のマハのモデルとされるペピータ(ペネロペ・クルス)の女のどろどろとした闘いとするだけで十分楽しめるのに。で、毒殺の真相は、となると、実にくだんなぁ〜〜〜い。アホか、と思えるようなことで誰がそんなもんで納得できるのじゃ。 けちょんけちょんだね。う〜〜んと、どこだったっか、ゴダールが、いまや映画はハリウッド化してしまって、もはや映画の力などと呼べるものはない、とそのようなことをおっしゃってましたが、そんなことはないだろうなって思っても、まさにこの映画はその典型で、これがかの『おっぱいとお月様』を作ったピガス・ルナによるものかと思えるくらいほんとに情けない。確かに金はかかってるけれど、金をかけたらエエってもんじゃないでしょ。 ペネロペ・クルスで売ろうかなってところが見え見えと言われてもどうしようもないでしょ。その割にはこの『裸のマハ』では全然はまってない。同じルナとペネロペの組み合わせの『ハモンハモン』のほうがびったりはまってるのだよ。ところが『ハモンハモン』はペネロペ自身は消し去りたいらしい。思うに、この女、ちょっとハリウッド行って、トム・クルーズとできちゃって、のぼせあがってんじゃないか。あのマハのモデルがペネロペというのはどうにもこうにも納得がいかない。マハのファン(そんなのあるのか)としては怒らなウソだよ。 唯一見ていて、ををーーっと思えたのはカイエターナとゴドイ(ジョルディ・モリャ)のキスシーンくらい。唇が唇を追いかけるキスにはかなりそそられる。あ、それとゴヤがカイエターナに絵の具で化粧をほどこしていくところ。カイエターナの顔が歪んで、これってSMプレイじゃないけれど(^_^ゞ、妙にエロチック。化粧というのは元来エロチックなものだというボクの審美観を再確認させてくれたこと。ほかに見るべきところ、ペネロペの脚くらいか。。。。 やっぱり、ビデオ屋で借りるときに、これは絶対はずすなと思った通りに、あまりに見事にはずれてくれたので、逆にうれしくなりました。
Volaverunt 製作 マテ・カンテロ / ステファーヌ・ソルラ 監督 ビガス・ルナ 脚本 ビガス・ルナ / クカ・カナルス 原作 アントニオ・ラレッタ 撮影 パコ・ファメニア 美術 ルイス・ヴァレス 音楽 アルベルト・ガルシア・デメストレス 衣装 フランカ・スクァルシアピノ 出演 アイタナ・サンチェス=ギヨン / ペネロペ・クルス / ジョルディ・モリャ / ホルヘ・ペルゴリア / ステファニア・サンドレッリ
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2002年10月24日(木)
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